7月末の週末、突然の呼びかけにより、
ダンディ−邸にてデコボコ3人衆の面々とお酒を共にすることがありました。
その時は翌週の涸沢の企画の話が主だったのですが、
私は平日に出かけるので今回は欠席ということで話は終結・・・
しかしダンディ−さんがお盆の週が夏休みということで、
また私の方もしばらく単独山行が続いていたこともあって、
久しぶりにいっしょに出かけようかということになり、
当初は白馬&朝日方面に3〜4日程度の内容で話がおおよそ固まっていたのでした。
しかし週間天気予報では予定している週末にずっと雨の予想が続いていて、
半ば中止若しくは延期になるだろうと思っていたのですが、
日程が近づいていくうちに、天気の予想がだんだん良くなり、
ついには殆どが晴れの予想に変わったのでした。
予定ではとりあえず、行き先はまだ未定でしたが、
日程の方は金曜の夜からということだけは、はっきりしていました。
前日、仕事の都合で会社に泊まる羽目になり行き先の検討の結果、
餓鬼岳に決まったのはなんと深夜の1時半頃となっていました。
しかし画策通り、泊まりを理由に翌日は昼で仕事を止め、
午後いっぱい準備をする時間を設けることが出来たのです。
08/09 (金) 千葉 → 立川 → 中央高速 → 梓川PA ( 仮眠 )
08/10 (土) 白沢登山口 → 大凪山 → 餓鬼岳小屋泊
08/11 (日) 餓鬼岳小屋 → 東沢岳 → 東沢乗越 → 中房温泉 → 穂高温泉郷泊
08/12 (月) 穂高温泉郷 → 白沢登山口 ( 車回収 ) → 中央高速 → 千葉
お盆の週でもあり帰省ラッシュが予想されたので早く出かけるつもりでしたが、
1時間程遅れて19時頃家を出発しました。
案の定首都高速はかなりの混雑で、
まともに走れるようになったのは高井戸を過ぎて中央道に入ってからでした。
お陰様で、立川付近のダンディ−邸に着くまでに既に3時間も運転してしまい、
ちょっとお疲れ気味・・・・・
昨年の夏、同じように泊まり明けで夜中に移動し、
中央アルプスでバテてしまったことが頭を過ぎります。
しかし思っていたほどの疲れもなく、また梓川PAでわりとよく眠れたこともあって、
最初からバテるようなことはありませんでした。
土曜の早朝の大糸線沿線の道路は空いていて、
途中ちょっと道を間違えたことはあったものの、6時半頃には白沢登山口に
無事到着し、準備をして7時前には歩き出すことができました。
街の方は天気が良く、夏の太陽がさんさんと照りつけていましたが、
北アルプスの山並みにはガスが纏わりついていました。
歩き出してすぐの頃に樹林帯から外れている道がありましたが、
そこからもこれからの登山道がガスの中へ入っていくのが、はっきりと分かります。
初日のコースは白沢登山口から白沢に沿って進み、
大凪山、百曲りを通って、餓鬼岳小屋までの6時間半の予定です。
白沢に沿って進んでいる間は、周囲を緑に囲まれ傾斜も緩く、比較的穏やかな
歩きが出来ますが、木道が濡れていてちょっと滑りやすいことや、気温はそう
高くないものの、多湿の為に体感的にちょっと暑かったことなどがネックとなりました。
沢沿いの付近は
紅葉ノ滝、魚止ノ滝などがあり、
周囲の木々も今は夏なので全て緑一色ですが、
秋なら結構綺麗に色づくのではと
思えるような雰囲気でした。
鎖や梯子などが設置してある箇所が結構ありましたが、
途中で前方からドサッという音と、人の叫び声が聞こえて何だろうとよく見ると、
前を歩いていたパーティーの一人が、滑落して沢に落ちかけていました。
紅葉ノ滝
魚止ノ滝
滑落といっても2m程度で、沢の中には達していなかったので、
特にたいしたことはなかったようでしたが、
捕まっていた鎖が途中で岩場から外れてしまったようでした。
( 改めて鎖に体重を預けすぎてはいけないと思いました )
沢から離れて本格的に稜線へ向かって登りだすと、
なかなかの急傾斜が続いて脚の上がり方がやたらと遅くなってしまいます。
超人ダンディ−さんは全く疲れがないらしく、
何事もなかったかのような涼しい顔でサクサクと登っています。
高山植物は、薄青い色の花をたくさん見た記憶がありますが、
全体的にはあまり多くなかったように思います。
急傾斜の途中で休息を摂っていると、何やら小動物が寄って来ました。
リスのような、オコジョのような・・・・・ 食料の匂いを嗅ぎつけてやってきたようでした。
しばらく急傾斜の道を登って行くと、そのうち傾斜が緩くなり、ようやく大凪山にやって来ました。
しかしそこは全然山頂という所ではなく、ただの登山道の通過点にすぎませんでした。
( プレートがないと本当に分からず、ただの道ですよ )
大凪山付近にやってくると、谷の方から吹き上げてくる風がとても涼しくて爽やかな感じでした。
しばらく進むと少し広い場所があったので、
そこで昼食を摂ることにしましたが、
雲っていたことや谷からの風ですぐに汗は引き、
ゆっくりとした快適な休息でした。
時折り雲が切れて、青空と共に正面に高い山が聳えているのが見えます。
どうやらこれが目的の餓鬼岳のようです。
休息を終えてしばらく歩くと、
だんだん雲が無くなってきて太陽の光が射すことが多くなり、暑くなってきました。
それと共に、今日最後の急な登りの百曲りにさしかかります。
いい加減疲れてしまっているので、脚の上がり方がかなり遅いのですが、
相変わらず超人ダンディ−さんは平気らしく、
ついには木の枝にぶら下がって運動なんぞ始めてしまいました。
私は急斜面の登りで息が切れていたので、座り込んでしまいましたけど・・・・・
しかし地図でよくよく確認すると、登山口から餓鬼の小屋までは標高差で1650mほども
あったんですねえ〜 それでいて急勾配が多いので私にはちょっときつかったです。
百曲りの最後の方は樹林帯の密度も薄くなり、炎天下の歩きに近くなっていましたが、
15時過ぎ頃ようやく小屋に到着しました。
小屋のすぐ傍の広場では、結構登山者が景色を見ながら寛いでいるようでしたが、
実はどうやら小屋の中に入ることが出来なくて、
しょうがなく小屋の外にいたという人も多かったらしいです。
燕岳、大天井岳への縦走路 唐沢岳、針ノ木岳方面
普段は混む小屋ではないらしいのですが、お盆に係る土曜日の為か、
ここの小屋にしては多い宿泊人数のようでした。
水晶小屋と同じく、食事と就寝のスペースが同じなので、
人数が多い時はそれらの準備の間、客は外に出てなくてはならないのです。
しかし悪天候でなくて良かったです・・・ 雨だとちょっと辛いですね−
さすがに夕方遅くになってくると寒くなってしまいました。
のどかな夕方の餓鬼岳山頂
夕食は散らし寿司でした。
水不足の為、お茶のおかわり出来なかったのが、
ちょっと残念でしたね。
ようやく布団の準備が整って中に入ると、部屋一面に布団がびっしり・・・
私は一番端となり、壁とダンディ−さんに挟まれて、身動きが取れないような状態でしたが、
今日は登りでちょっと疲れていたせいか、わりと眠ることができたようでした。
翌朝4時半頃に窓の方を見ると、まだ真っ暗なのですが、風が強いようです。
しばらくするとだんだん周囲もざわついてきたので外に出てみましたが、
空を見上げると東の方はいかにも太平洋高気圧の圏内といった感じで、
八ヶ岳や富士山、南アルプスの上空は雲も無く、すっきりした青空が広がっていました。
しかし自分のいる真上や北の方向の空を見ると、厚そうな雲がたくさん浮かんでおり、
また西側の北アルプスメインの山並みの方を見ると、中腹以上稜線付近には
厚いガスが纏わりついていて、いかにも天気が良くなさそうな雰囲気でした。
八ヶ岳、富士山、南アルプス 北側には不気味な雲が・・・
早朝のうちはまだ天気がマシで燕岳方面もなんとか見えていましたが、
小屋を出発する頃にはすっかりガスがかかり始めて、
東沢岳あたりから先は、見えたり見えなかったりを繰り返すようになってしまいました。
小屋前から望む陽の出 燕岳方面のモルゲンロート
途中で西側の山並みの方を眺めると、いつの間にか高瀬ダムの谷間に虹がかかっていました。
夕立ちの後に東の空にかかる虹はお天気回復の可能性が高いので結構なのですが、
朝っぱらから西側の空に虹がかかるなんて、いかにも今日はこれから
お天気が下り坂ですよと言われているみたいで、いやなものですね・・・
高瀬ダムの谷間にかかる虹 東沢岳の稜線
東沢岳付近までは、時たま上空に青空が広がったりもして、陽も射し暑くなることもありました。
ここのコースは大きな岩場がたくさんあり、鎖や梯子も結構あって
なかなか岩場のアップダウンも多く、歩いている感じがします。
途中で急勾配の大きな下りがあり、どうせ後で燕の稜線まで登らないといけないのに、
もったいないなあ−というのがちょっと憂鬱でした。
東沢乗越に向かって下り始める頃には、
裏銀座方面の稜線もすっかりガスに覆われて、殆ど見えなくなってしまいました。
また、たま−にポツポツと小雨が降ってきたりして、
本当に今日は燕岳経由で中房温泉まで下山するのかなと、ちょっと気が重くなってきます。
日光黄菅
東沢乗越へのなが〜い下りを下っていると、
珍しく日光黄菅が咲いていました。
本当はそんなに長い下りではないのですが、道標に東沢乗越まで20分と書いてあって、
そう思って降っていたのになかなか着かず、後で地図を確認するとなんと40分・・・・・
( 嘘つき! あ−疲れた。 )
東沢乗越でしばらく休憩をしましたが、
降り始めてからここまでの間、燕岳へ行くかどうか結構迷っていました。
ダイディ−さんは行くだろうけど、私は登り返しでかなりスピードが落ちるだろうし、
また今日のこの天気では、稜線上で良い写真を撮るのはまず無理そうだし・・・・・
結局、口の上手いダンディ−先生に言いくるめられて、
とりあえず燕岳の稜線へ向かうことになり、すぐに急登を登り始めました。
しかし15分程進んだ頃、またしても小雨がポツポツと降り出してきたのです。
何回か軽くポツッポツッというのはありましたが、目の前の稜線はすっかりガスに
覆われているし、下手すると雷の恐れもあるし、さ〜てどうしたものかなと思っていると、
どうやらダンディ−さんもちょっと考えが揺らいできたようでした。
しばらく検討した結果、早く降りて夕方から温泉に入るのも悪くないという話で決着し、
乗越まで戻って、それから東沢に向かって降り始め、中房温泉を目指しました。
激しい急坂をどんどん降ると、
すぐに沢が近づいてきました。
しかし、しばらく行ったあたりで
ついに本格的な雨が降ってきてしまいました。
気温はそう高いわけではなかったのですが、湿度が高かったせいで、
レインウエアを着ると、かなりムシムシしました。
沢に沿って進む間、軽い渡渉もあったりして面白かったのですが、
高巻きが急勾配でちょっと疲れてしまいました。
また途中で、明らかに下りの道があるのに川原に出てしまい、その先に道が
あるはずだと思い込み、しばらく登山道を探すのに迷ってしまったりもしてしまいました。
そして無事本線に戻り、その後は問題なく進んで中房温泉に到着となりました。
しばらくこちらで休みながら、タクシ−の相乗りが出来そうな人たちがいないかと
周囲を眺めていましたが、いなさそうなので、
合戦尾根登山口の方に行って降ってくる人たちの方を眺めました。
しかしみんなタクシ−を予約していたり、マイカ−で来ていたりと、
なかなかそれらしい人が見つからないので、中房温泉旅館に行ってみると、
さすがこの時期、季節運行のバスが1時間ぐらい後にやって来るということでした。
バスを待つ間に随分と空の方は青空が広がってきたのですが、
山の方はやはりガスがかかったままでした。
私たちが穂高温泉郷へ泊まるという話をすると、バスの乗客は4人しかいないし、
穂高駅へ行くのにちょっと回るだけだからということで、宿まで送って頂けることになりました。
( 送迎は無料だし10分程度なのでたいした手間ではないのですが、やっぱりラッキー!! )
宿に着くと、いろいろと準備不足な面があって、ちょっと大丈夫かいなとも思いましたが、
まあそうでもなく従業員の人たちも親切な方が多くて、結構良いところでした。
夕食は豪華で、私の細い胃腸には少し量が多かったらしく、しばらく苦しかったです・・・
翌朝、JR有明駅まで従業員の方の車で送っていただき、
電車で信濃常盤駅まで移動してから、タクシ−で白沢登山口へ車を取りに戻りました。
下界の街はすっかり晴れて天気は良かったのですが、
山の方には相変わらずガスがかかっていて、稜線はよく見えませんでした。
帰りの中央道から見えるはずの八ヶ岳や南アルプスの山々も、
この日はすっかり雲が沸き立ち、稜線はガスの中でした。