☆☆☆ 山行記録関連映像 ☆☆☆

   上高地散策    2002 / 06

 先週、体調不良の為に苦しい思いをしながら登った八ヶ岳の名残りである筋肉痛もそろそろ引いてきた今週の中頃・・・。

 ダンディ−Kさんたちと八ヶ岳に行くという話を頂いていたのですが、春頃会社で大変忙しい思いをした職場の先輩と
 温泉混じりの軽い山歩きに行くことになっていたので、そちらに参加することになり、段取りを実施したのでした。

 当初は那須連山の三斗小屋温泉に泊まるという1泊2日の軽いハイキング予定だったのですが、
 涸沢に問い合わせたところ、ちゃんとした登山靴なら軽アイゼン無しでも来れますよという返事に
 急遽2日前に内容を変更して、涸沢1泊2日+近所の温泉泊という内容になりました。

 週の前半に強い寒気が入った為、穂高で50cm 、涸沢でも30cm の積雪があったという情報に、多少の不安を持ちながらも、
 一面の銀世界が見れるかなと、結構期待に胸を膨らませていたのですが、終わってみるととんでもない結果なってしまったのです。

 金曜日の夕方、実はこの日で契約が切れるお姉さんがいるので急に今日簡単な送別会もどきをやるんだけどどう?・・・
 私は夜から上高地へ向かって車を運転しなくてはいけなかったので、当然不参加。  しかし同行する先輩は絵に書いたような
 酒好き・・・  こんな誘いを断るはずがなく、1時間ぐらい顔出してから行くから待ち合わせ24時ごろでもいい?・・・
 普段の酒癖を知っているだけに、半分本気で 『 遅れたら置いて行きますよ! 』

 しかしなんと、予想に反してきちんと時間通りに、その先輩は待ち合わせ場所に姿を現したのでした。( ちょっとだけ不思議 )

 金曜の夜のわりにはOFFシーズンのせいか殆ど混雑も無くガンガン走り、諏訪付近で長めに休憩した後、
 松本から下道を走る頃には薄ら明るくなっていました。
 2泊目は中の湯に泊まることになっていたので宿まで行きましたが、時間が早かったので予定通り玄関はまだ開いていません。

 今回の予想外のトラブルは既にここから始まりました。

 どうしたことか急に腹痛に見舞われ、がしかし宿は玄関が開いてない!!!
 しばらく死ぬような思いの我慢をした後、やっと宿の人が起きてきたので急いでトイレを借り、九死に一生を得たのでした。

 宿からタクシ−で上高地へ入り、お天気の方は予想通りに晴天で、穂高連峰も綺麗に姿を見せています。

 今回はテント泊でもなく、またいつもザックに入れている2Lの水も
 無しだったのですが、何故か前回同様、歩き出して30分もしないうちに、
 もの凄い疲れに襲われてきたのでした。 嫌な予感が頭を過ぎります・・・
 アルプス街道なんて高低差が殆ど無いのに、ここでこんな疲れ方してたら、
 横尾の先ではどうなるんでしょう・・・???

 そして次の明神でまたしても腹痛の為にトイレへGO・・・
 ( なんでやねん??? )
 徳沢では二輪草がたくさん咲いていたこともあって、
 落ち着いてしまい、しばらく横になって寝てしまいました。

 次の横尾までは平坦な林道歩きなのですが、途中所々に坂とは言わない
 ほどの登り坂があるのですが、なんとこの程度の坂を上るのが苦しくて
 止まってしまうほど、調子が悪くなっていたのでした。( 異常ですよね− )

           河童橋より穂高連峰

 横尾でしばらく休んでいましたが、既に時間が11時近くになってしまっていました。
 今までの状態を考えると、この先は勾配がきつくなってくるうえに雪もでてくる為、今まで以上に時間がかかってしまうことが
 容易に想像できるのでした。 もしかしたら途中で駄目で戻ってくるかもしれない・・・   しかし、だからといって今から
 今日はここに泊まりましょうという訳にもいかないので、とりあえず出発したのですが・・・・・・

 横尾を出てしばらくはまだ勾配もなく大丈夫だったのですが、予想通りちょっと坂がきつくなってくると、息が激しくなってきました。  最初の方で
 お先にどうぞと道を空けてもらった女性の人たちにも、あっという間に追い越されてしまい、途中の岩場でしっかりと根が生えてしまいました。
 それでもなんとか本谷橋まではようやくたどり着いたのですが、そこから先は今までの景色が一変し、完全な雪渓歩きの様相です。

 長めに休憩した後、時間を見るとそろそろ13時になろうかという頃でした。
 ここからは無雪期の標準で2時間ですが、今日のこの状態では5割増しの
 3時間でもちょっと怪しいなあということがすぐに頭を駆け抜けます。

 ちょっとどうかなあと思いつつ、とりあえず出発してみました。 前には人が
 いなかったので、足跡を探しながら雪の上を歩き始めましたが、勾配が真面目に
 でてきたうえに雪上歩行なもので、余計に疲労感が増してきてしまいました。
 ( 普通の状態なら、アイゼン無しでも全然平気なんですけどねえ・・・ )

 本谷橋から200mぐらい来たあたりでしょうか、
 またしても橋以来2回目の立ち往生・・・・・
 さすがに先輩も、私の疲れ方が普通じゃないことがわかったらしく、
 きついようなら降りた方がいいんじゃないのと言われて、
 真面目に考え込んでしまったのでした。

           本谷橋上部の雪渓

 横尾と涸沢の間で、この付近が一番どうするか悩む所でした。 降りるには勿体ない、明日は銀世界の涸沢が待っている・・・
 しかしこれ以上登るのは、今の状態では無理そうだし・・・  一番恐れたのは、途中でどうしても脚が上がらなくなってしまった時のことでした。
 前回の赤岳の時は念の為にと小屋泊なのにザックの底にはテントを忍ばせていたのですが、今回はありません。
 勿論余計な食料も水も無く、おまけに先輩は普段山を歩く人ではないのであります。

 しばしの考慮の末に出た結論は、やはりこの状態での無理は良くない・・・今回は安全を優先して残念だけど降りようというものでした。

 下りの方はさほど疲れることも少なく、割と淡々と降りて行くことが出来ましたが、下りながら頭の中ではあ−あ、なんで・・・
 という思いがひたすらグルグルと巡っているのでした。
 状況からして、横尾山荘に泊まる以外には考えられなかったのですが、銀世界の涸沢の無念さを考えるととっても悔しいので、
 こういうことでもない限りこの辺の宿に泊まることもないだろうからこれもまあいいかと、無理やり前向きに考えることにしたのでした。
 しかし落ち着く間もなく、またしてもトイレにGO! ( おいおいええ加減にせ−ちゅ−の!! )

 横尾山荘は新しくて、かなり綺麗なところでした。
 夕食までしばらく横になってうとうとしてましたが、食事だよ−と起こされ夕食。  思ったより結構、宿泊客はいました。
 食事の後すぐに風呂に行きましたが、さすがに出来てまだ2、3年なので、かなりの綺麗さで且つ風呂はジェットバスでした。
  ( ほんとに山小屋か? )

 客室は上下ベッド型の棚タイプで真ん中に通路がある部屋でした。  両サイドがちょっと狭いかなとも思いましたが、
 混雑期のことを考えると確実に1人分のスペースを確保できているわけで、まあ贅沢なことだと思い直しました。
 また布団がとても気持ち良く、いつもなら枕が変わると多少疲れていてもなかなか眠れないのですが、
 今回は珍しくまとまった睡眠が取れました。

 翌朝、まだ早い時間には前穂高や屏風付近にややガスがかかっていて、いまいちの天気といった感じでしたが、
 朝食を終えてしばらく布団にもぐってウダウダした後、8時頃外を眺めると、ガスもなくなり爽やかな快晴の空となっていました。
 なんとも見れば見るほど、素晴らしい青空だったのです。   本来ならこの快晴の青空の下で、白銀に輝く穂高連峰と
 涸沢カールを眺めるはずだったことを考えるとなんともやりきれない心境になり、久しぶりの大きな精神的ショックだったのでした。

  
          本当に快晴のいい天気です。                     雑誌の取材でしょうかね?

 支度をし、外に出てしばらくすると、横尾山荘のスタッフの人たちが
 何やら取材のような雰囲気で、写真撮影をされていました。

 横尾山荘のすぐ傍からは、遠くに北穂高付近の姿が少しだけ見えるのですが、
 真っ白に雪化粧していて、見れば見るほど残念・・・・・

 結局今日は上高地を散策するということで、ゆっくり昨日のコースを戻り始めました。
 まあ朝だし、わりと眠れたお陰で昨日のような苦しさは殆どありませんでしたが、
 周囲の快晴とはうって変わって、ちょっと心寂しいウォーキングだったのでした。

 連れの先輩は上高地が初めてだったので、明神や大正池などを巡ることにして、
 思いっきり観光ハイクにすることにしました。  久しぶりに明神池に行きましたが、
 日曜だったせいか、なかなか混んでいていまひとつの感じでした。
 先輩曰く、あの池も人がいなけりゃ綺麗でいいよなあ−って  ・・・やっぱりね。

      北穂高岳の方は雪がいっぱいですね−

  
 徳沢では二輪草がいっぱいです。 こちらは沢沿いの方で、テント場の裏の方は立ち入り禁止の看板が立ててありました。

  
              明神一ノ池。                              明神二ノ池。

 隊長たちと西穂高岳に行って以来、約3年ぶりに梓川右岸を
 歩いて河童橋まで行くと、そこにはいつもの清々しい爽やかな
 穂高連峰が待っていました。

 う−ん、やはりいつ見ても雲のない河童橋からの穂高は綺麗ですねえ−!!
 いつも天気が良ければ写真を撮っているので、同じ写真は結構あるのですが、
 やはり天気がいいと必ず撮ってしまいます。

 いつもならこれから東京へ帰らなくてはならないのですが、今回は
 近所の中の湯に泊まることになっているので、いつものような
 憂鬱さに追われることなく、ゆっくり過ごせました。


 梓川を眺めながらビールとつまみ・・・  いや−、実にいいですねえ!!

           梓川右岸からの焼岳。

  
           岳沢から奥穂高岳。                       河童橋より、午後の穂高連峰。


 ゆっくりした後、私たちは梓川左岸を大正池の方へ
 向かって歩き出しました。

 途中、修学旅行生たちとたくさんすれ違ったのが、
 ちょっとうざかったぐらいでしたけど・・・

 久しぶりの田代池は、静かで思ったより良かったです。
 午後だったので、朝のような瑞々しさは無かったですが、
 殆ど人もいなくて、静かな雰囲気を楽しめました。

 また大正池の方も、午後だったせいか人も少なく、
 背景に快晴の穂高を従えて、いい感じでした。


     田代橋の向こうに穂高連峰が見えます。

  
         田代池付近からの穂高連峰。                        午後の田代池。

  
          大正池からの穂高連峰。                          大正池の枯れ木。

 しかし問題は、日曜の午後に大正池ホテル前から帰ろうとすると、交通の便がよくないということでした。
 上高地BTへ行くのならいくらでもタクシ−はあるのですが、逆なので遠くまで行かないと乗せてくれません。
 バスも満員だと乗せてくれないし・・・・  まあしょうがないし、バスを待ってみるかということで待っていたら、
 運良く次に来たバスは、ここで乗客が結構降りてくれたので恙無く乗車することが出来ました。 めでたしめでたし。

 釜トンネルを出た所の中の湯で降りて、中の湯旅館の送迎バスに迎えに来てもらい旅館に着くと、ロビーには
 登山客らしき人たちがたくさんたむろしてしました。  おそらく日帰りのお風呂にでも入りに来ていたのでしょう。

 チェックインをした後はすぐにお風呂に入りに行きました。
 16時を過ぎていたので、先ほどのたくさんの客たちはもう出てしまった後らしく、お風呂は空いていました。
 内湯もなかなか綺麗でしたが、外の露天風呂に出てみると誰もいなくて、更に一番のポイントは露天風呂から穂高連峰が見えることでした。

 西穂高岳は手前の山に隠れて見えないのですが、奥穂高岳と前穂高岳、明神岳などが綺麗に見えていました。
 普通なら今日のように快晴の日だと、午後からガスが沸いてあまり綺麗には見えないのではということでしたが、
 今日は夕方になってもガスがかかることなく、暗くなるまでずっと穂高の山並みが綺麗に見えていました。

 夕食も比較的静かで、やはり日曜の宿泊だったからでしょう。
 結局その後、酒を飲むことなく寝ることになってしまったのですが、意外と暑くてなかなか寝付けませんでした。

 24時頃、とうとう暑さに負けて窓を開けたのですが、そのとたん標高1500mの冷たい外気がさ−っと入って来て
 これは開けっ放しで朝まではまずいんじゃないかなというぐらい急激に冷えていったのです。
 結局そのまま朝まで寝てしまったのですが、冷えすぎることなく快適に寝ていられました。

 朝食前に露天風呂に入りに行ったのですが、またしても昨日同様いい天気のもとに穂高連峰を眺めることが出来ました。
 早朝はまだ少し巻層雲が広がっていたのですが、朝食の頃にはそれらの雲もどこかに行ってしまい、
 すっかり綺麗な青空が上高地の上空を覆っていました。

  
          露天風呂からの穂高連峰。                          不思議な感じの雲。

 チェックアウト時も広いロビーに誰もいなくて、さすが平日だなあという感じです。
 今日は時間がたくさんあるので、穂高町のわさび田に行くことにして宿をでました。
 松本までの上高地線も平日なので、実にのんびりした快適なドライブで、
 穂高町に向かう道のりからも北アルプスの綺麗な山並みが姿を現していました。

 JR穂高駅の東側の大王わさび田をしばらく見学することにして、
 前から一度見てみたかった、安曇野の風景にでてくる水車小屋の風景を見たり、
 わさび田のコースを見て歩いたりと、なかなかいいところでした。
 わさびを作っているところだけあって、さすがに水がとても綺麗です。

 帰りはさすが平日なだけあって殆ど渋滞もなく、明るいうちに家に
 帰り着きましたが、その後数日間もなんとなく調子があまり良くなく、
 ほんとにこの先、山に行けるのだろうかと、ちょっと不安な日々を
 過ごしている今日この頃でありました。

 安曇野からの常念山脈。 中央の白くて高いのが常念岳。

inserted by FC2 system