2003/05

北アルプス

涸沢

GWに引き続き、今週末も5日間程晴天が続くと、天気予報が言っている。
これはそろそろちゃんとした登山に出かけなさいという、神のお告げなのだろうか?
週末は確実に良さそうだが、火曜辺りからはちょっと怪しい感じもする。

とりあえずどう? と前回に引き続き、
土日以外の日程が可能な、I さんに聞いてみると、是非行こうという返事。
日曜に用があるから月火ならということだったので、後はバイトの調整次第だったが、
こちらも土曜の仕事がかなり進んで、おかげ様で日月火は休みとなった・・・
やはり神のお告げか。
そのうえ、お天気まで日曜が崩れて、なんと月火が晴天の予想・・・・・
しかしこんなに美味い話があるのだろうか?
とちょっと半信半疑のような妙な気分であった。

05/11 (日)  千葉 → 中央道 → 甲府 → 中央道 → 松本 → 沢渡
05/12 (月)  沢渡 → 上高地 → 横尾 → 涸沢
05/13 (火)  涸沢 → 横尾 → 上高地 → 松本 → 甲府 → 千葉

05月 11日 (日)     曇り

I さんは15時に甲府駅に着くことになっていたので、私は12時過ぎに出発したのだが、
首都高速も中央道も全然空いていて、そのまま走ったら14時頃に着いてしまう感じ
だったので、途中のSAでちょっと食事して、二つ手前の I Cで降りて駅へ向かうことにした。
ところが一般道に降りてから、えらい渋滞にはまってしまい、ヤベ−また遅刻かあ?
という状況・・・       なんとか5分程度の遅れで駅に到着し、無事合流。

中央高速に入ると、さすがは日曜午後の下り線、かな〜り空いている!!
いつも日曜の夕方頃、上り線で渋滞に巻き込まれながら、
空いている下り線がいいなあと思っていたので、いつの日か日曜の夕方に出発して
上り線を尻目に優越感に浸ってやろうと思っていたのに、
なんで上り線がこんなに空いているのだろう・・・?
GWの翌週だからみんな出かけないで大人しくしていたのだろうか・・・

松本 I Cで降りて、いつものように上高地方面へと向かうのだが、いつもこの I Cで
降りるのは夜遅い時間の為、こうも明るい時間に走ると、なん〜か感じが違う。
しかしさすがに沢渡に着く頃には辺りも薄暗くなっており、とりあえず温泉に入ることにした。
温泉に入った後、沢渡地区を少し走ってみたが、19時台でもうどこも
食事をやっている店はなかった。      平日なので沢渡地区の駐車場は
どこも空いていたのだが、結局先ほどの温泉の駐車場を借りることになった。

ここの駐車場は地下なので、雨を気にしなくて済む。
どうせ車中泊なんだから本来なら関係ないのだが、今回はちょっと違う。
同行の I さんがなんと先日、山岳用のテントを購入されたとの事で、
今回はその練習も兼ねていたのだ。
別に今回はテント泊山行ではないので、単に車中泊の代わりというだけの目的なんだけど。
それにしても、2〜3人用のテントは広いねえ−! ( う〜ん、羨ましい・・・ )
一通りの設営の練習をした後、やっぱり宴会モードとなり、
22時頃に I さんはおNEWのテントで、私は車の中で、それぞれお休みタイムとなった。

05月 12日 (月)     曇り

朝、目が覚めると周囲はまだ暗い。
またいつものように1時や2時頃の時間かなと思いながら時計を見ると、3時45分。
珍しくいつもよりは、よく寝たようだ。

今回はいつも自宅で使っている毛布を持ってきたのでとても暖かい。
また助手席なので、アクセルやブレーキが邪魔にならず、
足が伸ばせるので、寝心地もまあまあ良い。
バスの始発が5時半だと言われていたので、テントの片付けもあるしと思い、
4時半に I さんを起こした。   自分の予定では15分前には、バス停に行って始発バスを
待つつもりだったが、I さんは慣れてないせいか、( 予想通り ) やはり時間を押してしまう。

バス停はすぐ近くだったが、その手前にタクシー乗り場があり、
歩いていると運ちゃんが声をかけてきた。
二人で上高地まで3000円というので、迷わずタクシーにする。
私にとっては久しぶりの本格的な歩きだということと、雪歩きに慣れてないから
時間がかかるかもしれないということ、 また I さんの雪道歩きもどんな感じなのかが
分からなかったので、兎に角1分でも早く上高地を出発したかったのだ。

釜トンネルはやっぱり5時から開いていた。
私は最初から5時に開くと思っていたのだが、
駐車場の( 温泉の )オヤジが6時だと言い張るので、おかしいなあと思っていたのだ。
それでもまだ5月だからそうなんだろうかと思ったりもしたのだが、違うじゃないかあ!
そんなことならもっと早く起こして、早く出発したのになあ・・・・・

タクシーの中で運ちゃんと少し話をしたが、今年のGWは人が少なくて駄目だったらしい。
やはりカレンダーの配列が悪い事が大きく影響していたようだ。
天気はかなり晴天続きだったのに気の毒な話だ。

BTに着くと、まだ6時前だったせいか、非常に閑散としていた。
写真撮影の中年集団が7〜8人程度、朝飯を食っているだけで、他には人の姿は見えない。
目の前には、立派なインフォメーションセンターなる建物が聳えたっていた。
そういえば、昨年ずっと工事していたのは、これを造っていたのかあ・・・・・
そのうち小雨がパラパラと降ってきたが、出発する6時20分頃にはもう上がっていた。

BTを出て河童橋へ来ると、若い学生風のお姉ちゃんたちがそこら辺に座って、
何やら絵を描いている。学校の授業だろうか?
こんな所で勉強なんていいなあなどと思いながら、とっとと先へ進む。
穂高連峰の稜線にはガスがかかっていて、あまり綺麗な景色ではない。
天気予報では、今日は午前中が雨で午後から曇りの予想だったから、
まあ今降ってないだけお得かな・・・

それにしても昨年の今頃、やはり I さんとここへ来て、涸沢を目指した時はひどかった。
ひどい貧血と腹痛の為に、既に徳沢の手前で歩くのに支障が出るほど、バテていたのだ。
とりあえず、今日は調子が悪いような気配はなく、普通に歩いて行けそうだし、よしよし。
昨年のリベンジも兼ねて、絶対今日は涸沢まで行くぞ−!!
( とは言っても、涸沢なんて毎年当たり前のように行ってるんだけどねえ〜 )

5月中旬とはいっても、上高地付近はまだまだ新緑にはほど遠い景観だ。
まだ葉がついてない木も多く、遠くの方まで見通せるような景色が続いている。
平日で時間が早いせいか、明神館の前には誰もいない。
明神では休まず、そのまま徳沢に向かう。

穂高の山々にはガスが纏わりついているが、私たちが歩いている上高地街道付近には、
時折り雲の隙間から陽が射しこみ、明るい朝の雰囲気が醸しだされる。
それにしても、さすがはオフシーズンの平日だねえ−、だ〜れもおらん。
極まれに向こうからやって来る人がいるが、
私たちのようにこちらから進んで行く人は全くの皆無だ。

徳沢に着くと、普段は全く隠れて見えない、徳沢ロッジが全然丸見えじゃないか−
そうか今の時期はやはり葉が少ないんだね〜
徳沢園の前のテント場もまだ緑が少なく色も薄かった。
I さんがまだ休まなくても平気だというので、ここも飛ばして横尾へと向かう。
横尾への道ではちょこちょこ雪が林道に残っている箇所があり、
除雪機がそのまま放置してある所もあった。

ここから先は井川湖、そして畑薙へと向かうが、結構長い。
松本 I Cから沢渡までのように、楽で近い道のりとは大違いだ。
走っているうちに、なんと眠気が襲ってきてしまい、たまに頭がフラッとしてしまう。
まずい、早く着かないと・・・    この分だと着いても7時過ぎ頃かな〜
バスが8時10分発だから、準備を考えると仮眠は無理そうだ。

横尾山荘の前でも相変わらず人の姿がない。
休憩者が一人、山荘前にいるだけの寂しい状況だった。
普段、人でごった返していることが多いので空いているのはとても結構だが、
ここまで少ないのもまたちょっと寂しいような気もする。
しかし平日って本当に空いているんだねえ−
( オフシーズンだからだろうけど・・・ 同じ平日でも8月では大混雑に近いだろうねえ− )
上高地からずっと休んでないので、ここではちょっと長めに休憩タイム。
腹に少し物を入れて、9時35分頃、いよいよ涸沢目指して出発した。

この付近は太陽の陽射しを受けて暖かく、はっきり影ができるほどの晴天という感じだが、
目指す穂高の山並みは、ガスがかかっているようであまり良い感じの空模様ではないようだ。
横尾の吊り橋を渡って山道に入るが、この辺はまだ雪の姿は殆ど見られない。
しばらくの間は傾斜の少ないちょっとゴロゴロとした感じの道が続くが、
3月頃ならこの辺の道もまだ雪に覆われて歩きやすいのだろう・・・・・
雪解けのせいか昨日の雨のせいかは分からないが、
地面にやたらと水溜りが出来ていて、ちょっと歩き難い。

本格的な山道に入る前に、前方からやってきた人と数人すれ違ったが、
やたらとその辺の軽ハイキングに近い格好の人たちだった。
普通ならここで前方からやってくるということは、涸沢から降りてきたのだろうと思うのだけど、
とても雪道歩きをしてきたとは思えん格好だったし、どっから来たのだろう・・・???
横尾からしばらく先まで散策して戻ってきただけかな?
そういえば昨年 I さんもやってたから、そういう人もいるんだろうね〜

しばらく進んで、左側すぐの所に沢が見える開けた場所に出ると、
ここからが本格的な山道となる。
左側に見える屏風岩は急な絶壁の為に雪は全然ついてないが、
下の方には結構雪が溜まっているようだ。

山道に入るとだんだん残雪の残っている箇所が増えてきた。
また周囲の景色もいつも来る時と違って葉が少ない為、普段は見えない所まで見えている。
昨年初めて夏にここを歩いたが、いつもは殆ど来るのが秋ばかりなので、
たくさんの葉に覆われた状態でしかこの辺は歩いたことがなかった。
本谷橋に近い付近まで来ると、遠くまで沢が見通せる場所に出るが、
この辺まで来ると、沢にはたくさんの残雪が姿を現し、
やはり残雪期なのだという感じがしてくる。

昨年来た時は、本谷橋の所までは完全に夏道だったが、
今回はもっと下の方から道が変わっていた。
歩いていたらいつの間にか、ここは普段通ってないなあ・・・という
谷側の道になっていて、右上の斜面の所々に夏道が見えていた。
しばらく行くと大きな岩があり、雪がなかったので休憩することにした。

既にこの付近は完全な雪道となっていたので、ここからはアイゼンが必要となる。
アイゼンを着けるのは久しぶりで、昨年の夏に白馬の大雪渓コースを歩いて以来だ。
I さんも今回の涸沢の為に、軽6アイゼンを買って来たそうで、
いよいよ、おNEWアイゼンの登場である。
私も久しぶりに着けたら、最初のうち上手く行かず、ちょっと忘れていたらしい・・・・・

装着が済んで、そろそろ出ようかということになり、雪道に出ようとした時、
いきなり雪の中にズボッっと足をとられてしまい、体が沈んでしまった為、
手に持っていた一眼レフに雪がついてしまい、ゲゲゲッ−・・・
最近はずっとレリーズケーブルの接触部分をオープンにしているので、
そこに雪が入ってしまうとマズイのだ。
あわててタオルで取り除こうとしたが、よく見たら反対側だったので助かった・・・・・ ( 汗 )

左側の沢は完全に雪の下に埋まっていて吊り橋の雰囲気はかけらもないが、
周囲の雰囲気からこの辺が普段吊り橋がかかっている場所だということがわかる。
昨年の時はちょうどここが雪道エリアとの境目になっていたので、
吊り橋はまだ外されていたが、吊り橋そのものの姿は見えていた。
ここから上はビッシリと雪が溜まっていて、谷底のルートを進む。

夏道はここから沢の右岸になるので、いつもなら左上の方にルートがあるのだが、
今は雪に覆われていて全く見えなくなっている。
この先、しばらくの間は陽射しが多い為か、
沢がはっきり姿を見せていて水がゴウゴウと流れている所もある。
途中、たまに木がかぶさっていたり、急斜面を横切ったりする箇所もあるが、
危険な所はないねえ−       沢の近くには大きなクレバスがあってちょっと怖いけど・・・
あれに落ちたら助からんだろうな−と思う・・・

しばらく進んでSガレに入る付近まで来ると、周囲に溜まっている雪の量が増えて、
ちょっとしたデブリのような感じがする。
まあGWの後でもありトレースがはっきりしているので、何も困らないからいいけど。
右前方に見える南岳の方も斜面には結構雪が残っているが、上の方は山肌が見えている。
デブリっぽい雪道をぐねぐね進んで行くと、
そのうちようやく傾斜が楽になり、同時に前方の視界が開けてきた。
目の前にトレースがずっと続いているのが見え、その先に前穂の山並みが見え始めてきた。

前も後ろも人の姿は全然なく、途中でちょっと立ち止まって耳を澄ませると、
シーンとしていて何も音が聞こえない。
GW頃の涸沢は写真などでは見たことはあったが、どっぷりと雪が多くて
残雪歩きを殆どしたことがない自分には、結構敷居が高いという印象を抱いていた。
しかしこの辺の景色を見ている限りでは、全然危なくはないんだねえ〜

上空は雲がかかっていて、爽やかな白銀の世界という感じではないけど、
所々の隙間には青空が見えているので、たぶん山だから出来ている雲であって、
本当の悪天による雲ではないみたいだ。

進むにつれてだんだん前穂や吊尾根、
涸沢エリアの姿が見えるようになってくるが、
一面の雪景色で邪魔する木々がない
せいか、かなり広々とした感じに思える。

 Sガレ付近より涸沢

夏や秋に来ると、まだこの辺では木の葉が
結構あるので、涸沢方面はよく見えない。

自分の歩いている前後が遠くまでよく見渡せるせいか、Sガレ付近の距離が近く感じて、
本谷橋と涸沢ってこんなに近かったっけか? という思いが多分に沸き起こる。

正面の前穂を眺めながら傾斜の緩い斜面を進んで行くと、
トレースがず〜っと伸びていて右に曲がり、涸沢へとつながっていくのがよく見える。
前後に誰もおらんなあ・・・と思っていたが、
よく見るとずっと先の方に3人ほど、歩いている人が小さく見える。
するとその人たちの傍を早いスピードで動くものがあるじゃないか・・・
ん? とよく見ると、SKIで滑り降りて来る人だった。
あ−やっぱり、SKIの人もいるんだ〜・・・・・

担いで登ってくるのも大変だろうと思うんだけど、降りる時は早いよね−
実際に滑ることが出来そうなのは、Sガレの中程までのようだけど、
涸沢からそこまで滑るとしても、真面目に滑ってきたら
たぶん5〜6分程度で終わってしまうような気がするよ。

最後の右カーブに差し掛かる頃になると、だんだん吊り尾根や奥穂高が
見えるようになり、そのうちやっと念願の涸沢ヒュッテの姿が見え始めた。
ここまで来れば見えるのは当たり前ではあるが、何となくちょっと安心・・・
&早く着いて楽になりたい、ビールが飲みたい、おでんが・・・  である。
しかしSガレの緩やかな斜面に入ってから、ずっとやっかいだなあ〜と思っているのが、
アイゼンの裏にへばり付く雪のダンゴだ。
あれが付いていると、爪の効果がなくなってしまうから滑るしねえ−

カーブを曲がる所からいよいよ最後の登りとなるが、
この斜面はちょっと勾配があるので疲れる。
足は別に何ともないんだけど、相変わらずいつもように肩がやたらと痛いんだよねえ−
ヒュッテはすぐそこに見えているのに、なかなか近づいてくれないんだな〜、これが・・・

ようやくすぐ下の所まで登ってくると、トレースが別れていて、
テント場の方へ向かうものと、ヒュッテの玄関の方へ向かうものがあった。
今回は左側の玄関へのルートで登ったが、こちら側のルートは随分と久しぶりだなあ・・・
よく考えたら、涸沢にはテント泊で来ることが多い為、
いつも中央のテント場からしかヒュッテには行かないから、ちょっと新鮮だった。
とうとう玄関前に到着すると、毎度お馴染みの台詞なのだが、やっぱり言ってしまう。

『 いや−、着いた着いた着いたよおおお−!!  あ−疲れた疲れた疲れた−!! 』

ヒュッテに入ると、4〜5人ぐらいの客が話をしていたが、他には殆ど客は
いなさそうな雰囲気だ。    そりゃそうだろうねえ、オフシーズンでしかも月曜だしい・・・
チェックインの時に聞いたら、パノラマ売店は今の時期、まだやってないそうで、

代わりに受け付けの隣に小さな売り場が設けてある。
そういえば、前に10月半ばに来た時も、パノラマ売店は閉鎖されていたなあ・・・
いつ頃からやるのと聞くと、夏頃からだって・・・    いつも営業していると思っていたけど、
よく考えたら自分がここを訪れていたのは、いつも混雑シーズンばっかりだった。
ずっと秋の紅葉シーズンばっかりで、昨年初めて7月下旬に来たんだったねえ−
I さんにおでんを是非とも食べてもらいたかったんだけど、ちと残念。

割り当ての部屋に行ってから、たぶん人は少ないだろうということで、
結構荷物を広げてしまったが、なんといっても、このスペースの広さはとっても有難い!!
やはり小屋は空いていると快適だ。

とりあえずビールということで、
上のテラスの方へ行って、
ビールを飲みだしたが、ちょっと寒かった。

いつものイメージでは、午後のテラスは
登山客でいっぱいという感じだが、
今日は私たちだけだった。

テラスの周りも雪がいっぱい

穂高連峰を見上げると、曇り空だがまあまあ見える。
しかし稜線の方には、ガスがかかっていて、見えたり見えなかったりを繰り返していた。

私にはちょっと寒かったので、寒くないですかと聞くと、
I さんはちょうどよくて風が気持ち良いそうだ・・・     なんで???
結論は、脂肪の差ということで落ち着いた。
でも寒いのでその後、屋内の土間でしばらく飲んでいたが、
今日はあまり写真を撮る感じでもなさそうだし、ちょっと疲れてもいたので、
私はしばらく休むことにして、布団を広げて潜ってしまった。
I さんは何故か元気で、その辺を歩いて来ると言って元気に出て行った。
なんで元気なのだ???

14時半頃に休んだのだが、ふと目が覚めて時計を見ると、もう16時半頃になっていた。
珍しいね−、やっぱり疲れていたのかな−と思う。
ちょうど I さんも戻って来たので、外に出てしばらくその辺をブラブラした。
17時半から夕食だったが、今日の客は15人程度のようだった。
やっぱり少ないのは静かで良いねえ−
さすがは夏至の1ヶ月前、18時頃でも全然外が明るい。

食事の後、隣の団欒スペースを借りて、やっぱり酒を飲むことになったが、
その頃にはちょっと寒くなっていて点けてあったガスストーブに、
しばらくべったりと張り付いてしまった。
夕食で結構お腹が膨れていた為、私は全然酒が飲めずにいたが、
相変わらず I さんはビールに日本酒にと、よく飲んでいる。( 笑、偉い! )
最後に泡盛をちょっとだけ飲んで、20時半頃に就寝となった。

05月 13日 (火)     晴れ

同室で寝る時は、いつも I さんのイビキは私にとって問題の種なのだが、
今回は何故か静かだった。
すぐ隣のおっちゃんが軽いイビキを出している程度で、部屋全体がとても静かなのだ。
勿論、人数が少ないせいもあるが、
こんなに静かな山小屋の夜もあまり記憶がないなあ・・・・・ 良い事だ。
ふと時計を見ると3時45分だ。
いつもなら、なかなか寝られなくて、23時とか1時とかそんな感じだが、
もう4時前なんて、やっぱり疲れていたんだろうな〜・・・
真面目な山歩きはなんといっても半年振りだし−

4時半頃になると外はもう明るい。
トイレの為に一度外に出ると、今朝は穂高連峰が綺麗に見えている。
戻ってくると I さんも起きたので、朝食まで外に出ることにした。
私は勿論、写真撮影なのだが、
I さんはまたしてもその辺を歩いて来ると、何故だかやたらと元気だ。

テント場付近にはテントは3張しかなかった。

テント場に積もっている雪

テント場の受け付けの建物の屋根がようやく
見える程度に雪が掘り返してあったが、
除雪機は雪の壁より全然下だった。

近くにいた人が、北穂に登ってますね、と言うので見てみると、
3人のパーティーが既に北穂へのルートの中腹付近を登っているのが見える。
天気予報では今日と明日は晴天の予想だったので、
きっと今日のお昼頃は素晴らしい眺めが拝めるのだろう・・・  私は行けないけどね〜

東側の常念方面はガスが沸いていて、ちょうど涸沢と同じぐらいの高さに雲が渦巻いている。
その雲たちがだんだんとこちらにやって来て、私たちの周辺もガスに巻かれ始めて
しまったが、ちょうど朝食の時間になったので、ヒュッテに戻って朝食タイムとなった。
窓の外はすっかりガスに巻かれて何も見えなくなっていたが、食べ終わる頃にはまた
ガスが消え始めたので、ある程度の荷物整理をしてから再び外に出てみると、
そこには早朝の時よりもっと青空に映える白くて眩しい穂高連峰が聳え連なっていた。


    奥穂高岳と涸沢岳              北穂高岳

I さんは湯沸しセット持参で、
お茶を沸かして寛ぎ、
私は相変わらずのんびりと撮影する。

兎に角、客が少ない為、
周辺には殆ど人の姿は無く、
実に静かでゆっくりと撮影ができるので、
非常に心地が良い。

寝る時に隣だったおっちゃんが、テラス付近で長玉( 望遠レンズ )撮影していたので
ちょっと話をしたら、今日は北穂まで行って泊まり、
また明日もそのまま北穂に泊まるのだそうだ。

昨日までは晴天のようだからきっと良い山行になるんだろうね−・・・ いいなあ。
しかしこれだけの景色を晴天下で見れたのだから、私たちもなかなか幸せ者だなあと思う。
I さんの準備が少し遅れたが、7時半頃にはヒュッテを出て私たちは降り始めた。

ガスが取れて綺麗な青空となっているので、
眩しい雪の中に聳える穂高の山々がとっても美しい。
それに輪をかけて、人のいない静けさがまた一段と
贅沢な時間と空間だということを実感させてくれる。

降りながら何回も後ろを振り返るのだが、
私の場合は撮影の為に良い絵になるかなあという為の振り返り。
I さんも何度も振り返って眺めていたが、彼の場合は今回かなり感動したらしく、
本当に降りるのが勿体無いと、ずっとぼやいていた。
まあそうだろうねえ・・・    高い山へ来るようになってまだ数回なのに、
青空の下に聳える雪の穂高を見たのだから、そりゃ〜帰るのいやでしょう・・・
そりゃそうだ。


しかし降りは早かった。ゴロゴロの石畳のいつもの道より、全然楽だし速い。
降りは苦手だと言っている I さんも、結構今日の降りは問題無かったようだ。

相変わらず前にも後ろにも人の姿は無く、記念写真を撮るにも何の邪魔者も無い。
ヘリが物資の輸送の為に、何回か上空を飛んでいく。   Sガレの真ん中付近まで来て、
周囲がデブリっぽくなった頃には、ついに前穂の姿も見えなくなった。

ここからしばらくデコボコした感じの道を降ると、
雪が融けて沢の水が流れているのが遠くに見えるようになってくる。
クレバスや沢の流れを横に見ながら降りて行くと、すぐに本谷橋辺りの所に出た。
 


        クレバス               本谷橋上部付近

その下の方の雪景色と普通の景色が入れ替わる辺りで、
登りの中高年グループとちょっと話したが、晴天が1日後ろにずれたので、
昨日をやめて今日登っているのだと何とも羨ましいことを言っていた。
私たちはそのすぐ先の夏道に合流する所で、アイゼンをはずしていつもの山歩きに戻る。
ここから先は日陰も多いとはいえ、Tシャツ1枚でちょうどいいぐらいの気温だ。
横尾でしばらく休憩した後、さっさと上高地目指して歩き出すことにした。

横尾〜徳沢間では、除雪機で除雪作業を所々行っていた。
途中、緑に交じって白くて小さい花が咲いている。
二輪草かなと思うのだが、時期的にはまだちょっと早いかな・・・
でもやっぱり二輪草だろう・・・・・
( やはり二輪草だった。  ネットに記事が出ていたけど、いつもこの時期・・・? )

新村橋から徳沢までが意外と長かった。    こんなに距離あったっけか???
徳沢では休まず、徳沢園の前で写真だけ撮って先に進む。

5月中旬とはいっても周囲の緑はまだ薄く、絵葉書のような緑にはまだまだ遠いんだねえ〜
徳本峠の分岐を過ぎて明神館の前に着くと、
二人とも腹が減っていたのでちょっとだけおにぎり休憩。
平日だからすれ違う人の数も少なかったが、やはりここからは違う。
ここからはやっぱり観光ルートなのだ。

明神を出て30分ぐらいで小梨平のキャンプ場が見えてきたが、
I さんが、この区間は観光客がウザイというようなことを言っていた・・・
だんだん山屋さんに近づいてきたようだ。 ( 笑 )
そのうち、上高地はやかましい! なんて言い出すようになるのかなと考えると、
ふとおかしくなってしまった。

河童橋の手前のテーブルでお湯を沸かしてラーメンを作る。
観光ツアーらしき集団はいるものの、平日なのでやはり人の数は少なく感じる。
( というか、普段最盛期の週末に見ている光景が異常なんだよね〜、きっと )

テーブルで何か食べている人がいると、カモだかアヒルだか知らんけど、
逃げるどころか近寄ってきた挙句に、グルグル周囲をうろついて、
食い物をくれと言わんばかりに待っているのだが、どうなんだろうねえ−これって・・・
人間が餌を与えるもんだから調子に乗って、終いには人間に
危害を加えるようになった猿の事件( 日光など )を考えるとむやみに餌を与えるのもねえ〜
まあ鳥だから猿ほどのことにはならないだろうけど。

沢渡行きのバスは出たばかりだったので、次のバスには一番乗りだった。
いつもならバスの中で寝ることなどありえないのだが、
やっぱり疲れていたのか、途中で眠ってしまった。
沢渡に着くと、車に戻ってからすぐに温泉に入りに行った。

やはり登山の後の温泉は気持ち良いねえ−!!

ここの婆ちゃんが、最近は観光バスが増えたせいで( マイカーが減ったせいで )
客が少なくて困ると、結構ブツブツ言っていた。
そう言われてみると最近、上高地の帰りはいつもここで
温泉に入るのだけど、確かに混雑というほど人が入っている記憶が無い。
こちらにとっては空いてて有難いのだけど、商売している側としては困るよねえ。

帰りの中央道も空いていて、予定より早めに甲府駅に着くことができ、
I さんを降ろして帰途についた。      新宿付近まで来ると、
な〜んと都心環状線外回りは断続渋滞11Kmで90分( 赤字 )だって・・・・・
迷わず、内回りのレインボーブリッジ経由湾岸線でさっさと帰ったのだった。
( 2系統あるとこういう時、便利だ )
その後2日間ぐらいは足の脛付近が痛かったが、
太股の筋肉痛などは予想に反して発生しなかった。

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