2002/09

八ヶ岳

阿弥陀岳・赤岳

すっかり涼しくなり、山も秋の衣替えが進んでいるこの頃。

前回涸沢へ行こうとして私の体調不良が原因で上高地散策となってしまった職場の先輩が、
山に行きたそうな雰囲気だったので、急遽木曜日に山へ出かけることが決まってしまいました。

行き先はそう大変でもなく、しかし3000mクラスに近い稜線へ行ける所ということで、
前回阿弥陀岳を逃したこともあり、再度、南八ヶ岳へと出かけることになりました。

09/20 (金)  千葉 → 下高井戸 → 中央高速
09/21 (土)  中央高速 → 美濃戸 → 北沢 → 阿弥陀岳 → 赤岳頂上小屋泊
09/22 (日)  赤岳 → 地蔵尾根 → 南沢 → 美濃戸 → 中央高速 → 下高井戸 → 千葉

09月 20日 (金)     天気は忘れた

木曜の夜、飲んで会社に泊まったわりには、早朝から目が覚めてしまって
寝不足状態だったので、金曜は昼で退社して夕方うちで少し横になっていましたが、
いまひとつ眠れずにまたしてもこのような状態で出発することになってしまいました。

首都高速は予想通りに前半スイスイ、後半ノロノロ・・・
しかし足して2で割ると見事、22時の待ち合わせの3分前に着きました。

先輩は予定よりも早く会社を出たわりには30分ほど遅れて来たのですが、
どうやら会社の 帰りに新しい登山ザックを買ってきたようです。
少しづづではありますが、山歩きの楽しさに入り込んでいるような気配がありますね・・・

食料類をまだ購入していなかったので、ICを降りてからコンビニで買うつもり
だったのですが、美濃戸へ向かう道路は全然コンビニが無くて、ICの所まで戻って、
買い物をしてから再び美濃戸へと真っ暗な道路を走りました。

それにしても街灯の一つもなく、ほんと真っ暗でちょっと不気味な感じです。
道路は走りやすくていい道なんですけどね〜

バスの終点の美濃戸口からは林道になるのですが、今回は一度走っていて
道が分かっているのと、一人ではない為に全然平気でした。

前回は初めてで一人だったし時間もかなり深夜遅かったので、疲れて大変でした。
駐車してからとりあえず寝ようとしましたが、なかなか冷え込んであまり眠れませんでした。

09月 21日 (土)     晴れ 後ち 曇り

朝、周囲が明るくなって外にでてみると結構冷えていて、
車のガラスにも霜が降りていました。

また天気が良かったので、標高が1800m付近ということを考えると、
今の時期なら当然ですね−

山小屋”やまのこ村”でおにぎりとお茶で軽く朝食を済ませ、
準備をしてから6時15分頃歩き始めました。

上空には雲一つない青空が広がっていました。
沢沿いのコースにはまだ陽が当たらず、涼しい歩きが続きます。

そのうち樹林の間から陽が射すようになってきましたが、
上空にはいつの間にか薄い雲が広がり始め、かなり速いスピードで流れていました。

先輩は何故かストックを1本持っているのに、
いつも道で太めの木の枝を見つけてきて、ずっと使っています。
今回もまだ沢沿いに入る前の林道のうちから、既に見つけてきて使っていました。

今回は先輩のゆっくりしたペースに合わせて歩いているので、
いつもと違って後ろからくる人に追い越されてばかりなのですが、
歩程がそう長くないので、全然気にならずゆっくり歩けました。

それでも2時間かからずに赤岳鉱泉に到着です。
テーブルで休んでいると先輩がおでんを買おうとしたのですが、
さすがにまだ8時頃だったので出来てないと断られたそうです。

赤岳鉱泉から次は行者小屋へ向かいます。
樹林帯の中の道を35分程で行者小屋に到着しました。

前回来た時は小屋の東側にテーブルとベンチがあったのですが、
それらが全く姿を消していて、テーブルとベンチは北側の玄関の方へと場所を移していました。

新しく売店もオープンしており、そういえばこの前来た時、
小屋の人たちが工事をしていたのを思い出します。

赤岳鉱泉の方は登山者が少なかったのですが、
こちらは結構たくさん登山者がいて賑わっていました。

ここからちょうど綺麗に北アルプスの槍穂高付近が見えているのですが、
遠くに見える為に、先日歩いた槍穂高間がえらく短く感じます。

しばらく休んでから、9時半頃に阿弥陀岳へと出発しました。
今回は調子が悪いこともなく、
文三郎道の分岐を、前回見送った阿弥陀岳へのルートに入ります。

文三郎道と中岳道の分岐

危険な箇所は全然ありませんが、
勾配は結構あるので
ちょっと登ると、
どんどん行者小屋が
下の方に小さくなっていきます。

空を見上げると頭上には巻層雲が広がっていて、北の方だけが青空になっていました。
やはり日本の南に低気圧が近づいている影響のようです。

そのうちようやく中岳のコルに出ました。
ここに皆さんザックを置いて、阿弥陀岳へ登っているようです。

下から見上げると、距離はたいしたことなさそうですが、なかなか急勾配のようですね。

阿弥陀岳東側斜面

岩場を頑張って登る!!

実は同行の先輩は高所恐怖症の気が少しあるので、
もしかしたら途中の鎖場で凝まってしまうかもなあ〜と思ってましたが、
途中何回か戸惑いながらも無事阿弥陀岳山頂に到着出来ました。

山頂はまあまあ広くて混雑もしていませんでしたが、
周囲の景色は雲が多くなっていて、霞んだ感じになってきていました。

太陽光線は届いているのでまあ晴れという感じはしますが、青空というイメージは
薄くなっていました。  周囲の山々の写真を撮ったり記念写真を撮ったりしていると、
そのうち団体さんがやって来たので、しばらくしてから降り始めました。

しかしこの時間、これから向かおうとする赤岳の山頂に、ダンディーさんがいたとは、
私は知る由もありませんでした。  ( 後日メールで発覚したのです )

たまたま先輩が小型の双眼鏡を持っていたので、眺めればもしかしたら見えたかも
しれませんが、まさか知り合いがいるとは思ってもみませんのでねえ・・・・・

急斜面の鎖場等は、登りよりも降りの方が危険だし恐怖感も増すので、
先輩はちょっと時間がかかるかなと心配しましたが、
特に停まってしまうこともなく、無事にコルまで降りて来れました。

北八ヶ岳方面

やはり恐怖感がある人は
どうしても急斜面になると、
岩場に体を倒しすぎるようですね。

説明はするのですが、
頭で分かっていてもどうしても怖くて
安全な側に逃げてしまうのだそうです。


  霧ヶ峰、美ヶ原、北アルプス           南アルプス

少し休んでから中岳へ向かいました。

傍にいた人たちが中岳の方を見て、
大切戸の長谷川ピークみたいだと言ってましたが、
確かに何となく切れ落ちているように見えて、
そんな感じにも見えました。

ここのピークはあっという間に過ぎて、
ザレた感じの斜面を一度降り、
コルでしばらく休憩してから、
いよいよ赤岳までの最後の登りに進みます。

これから向かう赤岳への稜線

ざらざらの斜面をジグザグに登ると、前回横になってしまった文三郎道の分岐があります。
ここでもちょっと休んだ後、しばらく登ると登山道は岩場鎖場へと変わって、
先輩にとっては今日最後の難所となります。

岩場の始めの方で、いかにも職人さんという格好の人と少し話しましたが、
なんとこの後、山頂の小屋の補修工事の仕事があるのだそうです。

当初は資材といっしょにヘリで来るはずが、
人間は歩いて来いということになってしまったのだそうでした。   お疲れ様です・・・

美濃戸から上がって来たそうですが、ルートを間違えて阿弥陀岳へ
行ってしまったそうで、素人には全く大変だよと、お疲れの様子でした。
そりゃそうだよなとちょっと同情してしまいました。

好きじゃない人に7〜8時間も山道歩けというのは可愛そうですよね−

空を見上げると、太陽の周りには
綺麗な光環が出来ていました。

いかにも低気圧が
近づいているという感じです。

低気圧や前線が近づくと
太陽の周りに光環が現れる

先輩もえっちらおっちらと、
なんとか停まることもなく進んで行きます。

しばらく登っているうちに、
ガスが出てきて太陽が隠れてしまいました。

頂上直下の、小海線側が見える辺りまで来ると、
風も強くなってきて少し寒くなってきましたが、
小海線側の町には陽が射しているのが見えます。

ここまで来るともう山頂にはすぐに到着しました。

赤岳直下の最後の岩場

ここでは残念ながら曇りの天気になってしまいましたが、阿弥陀岳にいる時に
まあまあの天気だったので、あまり残念という感じでもありませんでした。

しばらく山頂にいましたが寒かったので、
小屋へ行って受け付けを済ませてビールを飲み始めました。
前回来た時は客が少なかったのですが、さすがに今日はそこそこの人数がいるようです。

談話室を兼ねている食堂は、お酒などを飲んでいる人たちで賑わっていました。
飲みながら窓の方を何度も見ましたが、
今日はもう景色は何も見えないといった感じですね。
酒好きの先輩は運動したせいか、缶ビール1本目から赤い顔になっていました。

その後しばらく布団で横になって、夕食となりました。

夕食の後にまたちょっと飲んでましたが、先輩が外の暗闇の中に明かりが見えるというので、
外に出てみると、なんとガスが引いていて下の方の町が見えるようになっていました。
 

本来ならかなり寒いはずと思うのですが、やはり低気圧が近いために、
そんなに寒くもなく、長袖1枚でわりと外にいられました。

部屋では客が横になってびっしり並んでいますが、
私たちの隣は空いていたので、全然窮屈なことなく楽に寝ることが出来ました。
2晩も睡眠不足が続いていたので今夜は眠れるだろうと期待していたのですが、
相変わらず駄目でした。 ( う〜ん、不思議だ・・・ )

私たちの部屋には60人ぐらい客がいたようですが、珍しく皆さん静かでした。

普通これだけの人が同じ空間にいると、絶対いびきや歯軋りの激しい人がいて
うるさいものですが、今日は静かだなあとちょっと感動していたのもつかの間、
その静寂を思いっきり破ってくれたのが、よりによって横で寝ている先輩でした。
( ガチョ〜〜〜ン!!!  すぐ隣からどでかいイビキが!! )
そういえばこの人、確か蓄膿症だったような・・・・・

眠りが浅くなると静かになるので、何回か軽く起こそうかとも思いましたが、
仏様のように心の広い私にはとうとう出来ませんでした。
( 気が小さくて出来ないという言い方も出来ます・・・  小笑 )

食事が終わって日の入りの20分程前ぐらいに外に出てみると東側のガスも消えて、
多少霞んではいるものの、奥秩父方面の山々も見えるようになっていました。

09月 22日 (日)     曇り

翌朝外に出てみると、ガスに巻かれて
何も見えないのではという予想に反して、
周囲の山々がずっと見えていました。

奥秩父方面

しかし上空は高層雲でびっしりと
埋め尽くされていて、天気予報の通りに、
昼頃には雨が降ってきそうな気配です。

しかしまあまあ遠くの山まで見えているので、曇り空ではありましたが、
写真を撮って赤岳展望荘の方へと降りました。

朝方は富士山の山頂付近は高層雲に隠れていましたが、
展望荘に着く頃には富士山も全部見えるようになっていました。
展望荘では工事を行っていて、新しい建物を造っている最中でした。

ちょっと休憩してから、地蔵尾根分岐の方へ向かいました。
しかし横岳付近はいつ見ても、ゴツゴツした岩稜帯ですね〜

分岐からは鎖や梯子が結構続く、
急勾配の降りです。

ちょうど良い時間帯だったせいか、
下から登って来る人たちも
結構いました。

急勾配の地蔵尾根

分岐から少し降った辺りから赤岳の方を眺めると、
切り立った岩場が目の前に広がり、なかなか迫力がありますね。

急勾配の降りをどんどん降って行くと、だんだん森林限界の中へと入って行きます。

全体的に紅葉はまだまだですが、
なかには一部
赤く色づいた木々の葉もありました。

また緑の葉も
少し黄色く色付いてきている
ものも結構多かったですね。

振り返ると、随分上の方に横岳のゴツゴツした稜線が見えます。
やっぱり傾斜はかなり急ですね−!

そのうち完全に樹林帯の中へと入り、薄暗い道を進んで行くと、行者小屋が姿を現しました。
玄関の方の広場は、相変わらず登山客で賑わっていました。

よく見るとここのテント場は結構あちらこちらにテントがばらついているんですねえ−
おいおいそこはほんとにテント場かあ? と思うような所にも結構テントが張ってありました。

ベンチで休んでいる時に、先輩にチョコレートどうですかと言ったら、
降りたらすぐ岩魚とビールを注文するからいい、と気合の入った返事でした・・・
とにもかくにも、ビール最優先の素晴らしい先輩なのでございますよ。

用意をして8時半頃、今度は南沢沿いのコースを降り始めました。
登ってくる人はまだ少なく、静かな歩きが続きます。

苔むした樹林帯の風景を見ていると、いかにも八ヶ岳だなあという感じがします。
天気の方はそのうち雨が降ってきそうな感じですが、お陰さまで全然暑くなくて助かりました。
長袖を着ていて少し暖かいぐらいの感じでしたかね〜

前回ここを登って来た時は具合が悪かったせいか、周囲や道の感じをよく見てなかったようで、
歩きながらこんなに石がゴロゴロした歩きにくい道だったかなあという感じがします。

このコースも後半になると、下から登ってくる人と結構すれ違うようになりました。
先輩は相変わらず、お気に入りの木の枝をフル活用して降っています。

そのうちとうとうポツポツと雨が落ちてきました。
樹林帯の中だし、あまり気になるほどでもなかったのですが、
そのうちだんだん雨が真面目な小雨に変わってくると、自然と歩く速度が速くなります。

前回登る途中で休憩してバテ気味だった所を通過していたので、
あと20分ぐらいで着くだろうと思っていたのですが、
これがちょっとした勘違いらしく、なかなか登山口の美濃戸山荘が見えて来ません。

確かにもう少しのはずなので、レインウエアは着たくないなあ−などと思いながら
歩いていると堰堤に出て、ようやく山荘の赤い屋根がすぐそこに見えました。

そして本降りになるまえに”やまのこ村”まで歩いて、
荷物を車に入れて ”やまのこ村” で一休みとなりました。

”やまのこ村”の駐車場

先輩は岩魚とビール、
私は運転するのでお茶とたこ焼き。

時間も11時頃で
ちょうど小腹が減っていたので、
結構美味しく頂けました。

”やまのこ村”を出発する頃には雨は止んでいました。

帰りは”やまのこ村”で教えてもらった、ホテル八峰苑の<鹿の湯>という温泉に寄りました。

500円にしては広くて良いお風呂でしたが、大広間は宴会や昼寝の人で結構いっぱいでした。
先輩は相変わらず、また美味そうにビールを飲んでいます。 ( ほんっと好きなんですよね− )

帰りは昼飯食べる所を探しながらしばらく下道を走り、
20号線沿いの店で山梨名物のほうとうを食べました。

その店のレジの前にカレンダーがあったのですが、
そこには仙人池から見た、剱岳の綺麗な紅葉の写真がありました。

帰りの中央道は3連休のなか日だというのに、
結構混んでいて東京都に入る頃にはすっかり暗くなってしまいました。

その後もそれなりに渋滞しているとの情報でしたが、
首都高速に入る頃には解消していて、20時半頃には帰り着くことが出来ました。

夜、天気予報を見ていたら、関東の南東海上を
台風19号が通過して行くという情報になっていて、ちょっとビックリでした。
南海上にいたのは熱帯低気圧だとばかり思っていたのですが、
いつの間にか台風になっていたんですねえ・・・

その夜はさすがに、落ち着いてよく寝ることが出来ました。

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