2002/11

丹沢

檜洞丸・蛭ヶ岳

暦もいよいよ霜月となり、今年も登山終了の時期がやってきた。
今年の11月は例年に比べて、かなり気温が低く、あちこちで雪の便りが届いている。

しかし冬型の気圧配置で寒いということは、太平洋側の住人にとっては、
ほぼ毎日晴天が続き、とっても有難い。
( 日本海側の人には、大変申し訳ない話ではあるが・・・ )

11/09 (土)  新松田 → 箒沢公園 → 石棚山 → 檜洞丸 → 青ヶ岳山荘泊
11/10 (日)  青ヶ岳山荘 → 臼ヶ岳 → 蛭ヶ岳 → 姫次 → 藤野 → 千葉

11月 09日 (土)     快晴

今回は絶好の冬晴れにも見舞われ、久しぶりの電車でGOの登山となった。
電車で山に出かけるのは、なんと3月の高水三山以来である。
しかし家から新松田まで行くのは、非常に遠い・・・ しかもそこから更にバスに乗るのだ。

山の為に自宅で朝早起きするのは随分久しぶりだが、やはり自宅の早起きは辛いものがある。
普段、アルプスなどの山中で早起きしている時は、楽しいので全然苦にならないのだが、
低山や自宅での早起きは、どーも駄目だねえ・・・・・

まあ眠いなあなどと思いながらも、総武線、中央線、小田急線と、
まあ延々と2時間半も電車に乗り、ようやく新松田に着く。
改札でダンディーさんと合流し、すぐにバスに乗る。

その後1時間程バスに揺られ、ようやく登山口の箒沢公園に到着した。
バス停付近は土曜だというのに、殆ど車も通らず静かなものだった。
もうすぐ11時になろうかという頃、私たちは歩き始めた。

沢を離れるとすぐに、ダンディーさんが腹が減ったということ
だったので、しばらく登った付近の稜線のような所で昼飯にしたのだが、
そこは風が強くてちょっと失敗だった。  

辺りは色づき始めてはいるが、まだ緑が多くて、
秋というにはちょっと物足りない。

しかし吹き付ける風はさすがに11月、
なかなか冷たくて、
歩いてないとかなり寒くなってしまう。

この辺りでは、まだまだ緑が主流だが、
中にはかなり良い色に紅葉している葉もあり、
随分綺麗な色になるんだなあと、
ちょっとびっくりしてしまった。

しかし海風の影響からか、低めの雲がそこら中に沸いていて、あまり良い天気ではない様子・・・
天気予報では晴天の予想だったのだが、山の天気だからねえ。

それに、天気予報で言っている晴れというのは、天空の中の雲の占める割合が
20〜80%程度をいうので、庶民感覚ではどう見ても曇りだろ、というような
雲だらけの天気でも、雲量が8割以下なら晴れなのである。
もう少し庶民感覚に合わせたらどうかと思うんだけどねえ。

ここから板小屋沢ノ頭までは比較的登りが続き、登山道もあまり歩きやすくもない。
お昼も過ぎて、そろそろ日帰りの降りの人たちと会うかなあと思っているが、
全然人の気配無し・・・        全くもって静かな山歩きである。
カレンダー的にもお天気的にも、もっと人が多いと思ったんだけどね。


先ほどまでの緑や赤、黄色に囲まれた周辺も、
石棚山近くになると急に雰囲気が変わり、葉が落ちた
初冬の寒々しい、何とも寂しい雰囲気になってしまう。

しばらく歩いただけで、よくもこんなに雰囲気が
変わるもんだと、ちょっと不思議な感じでもあった。

石棚山付近から先は、比較的穏やかな山歩きとなり、周りの雰囲気も
穏やかな初冬の低山ハイキングといった、のんびりとした静かな感じとなった。
ところどころで野生の鹿にもお目にかかる。

先ほどまでは北西の方に、今にも雪でも降ってきそうな気配の怪しい雲がかかっていたが、
今はだんだんそれも取れていて、青空も覗いているのだが、なんせ気温が低くて、寒い!
テシロノ頭付近でちょっと休憩しようとしたのだが、ベンチとテーブルがあった所は
風がとても冷たかったので、さっさと先へ進んでしまった。

この付近は随分と登山道の手入れがなされているようで、
綺麗な丸太の階段などが整備されており、なんか遊歩道のような感じになっていた。

よく整備された道を進むと、ようやくゴーラ沢方面からの道と合流する。
ここからは木道の道をしばらく歩くが、ちょうど1年前にここを歩いた時は、
吹雪になってしまい、木道が白くなっていたのを思い出す・・・・・
まああの時もそこそこ寒かったけど、今日も寒い。

ビール、ビールと言いながら、
檜洞丸山頂手前の最後の登りを登ると、
誰もいない静かな山頂が待っていた。

檜洞丸 山頂  1600 m

林の間から斜めに差し込む冬の柔らかい西日の中で、記念写真だけ撮って
さっさと青ヶ岳山荘の方へ降りて行くと、奥の方でトイレの改築工事をやっていた。

中に入ると、昨年と同じようなゆったりした雰囲気が漂っている。
一段落してから、コタツに入って、お酒&おつまみの時間となった。

ビールの後、持って来た泡盛を飲むつもりだったが、水を持って来るのを忘れてしまった為、
貰えたかなあと思っていたところ、今年は急に寒くなって冷え込んだ為に水が凍り始めてしまい、
確保が難しいので、基本的に分けてもらえないとのことだった。

結局、最初にただでもらったお湯一杯の分だけ、お湯割りを飲んで終わり。
まあ食事前だから、いいか・・・   そのうち辺りもすっかり暗くなって、夕食になった。

昨年同様、鍋だった。

しかし鍋をおかわりして食べていたら、
結構お腹いっぱいになってしまい、
後から雑炊となったお米の方は、
殆ど食べることができなかった・・・
ちょっと残念。

夕食の後、しばらくコタツでボケーッとしたり、昔の本を眺めたり
していたが、そのうち消灯の21時が近くなってきたので、
私たちもそろそろ布団にもぐることにして、2階へ上がり、床に就いた。

それにしても、コタツの中で本物の炎が燃えていたので、
何度か足が熱かったが、ああいうのも今時良いもんだ・・・


    蛭ヶ岳と街の夜景             星空

11月 10日 (日)     快晴

明け方、まだ暗いうちから、私の頭のすぐ脇をバタバタと人がよく通る・・・ 結構うるさいな−
昨夜、最後の方に寝た為に、階段のすぐ目の前の場所になっていた為である。
中には人の顔に、まともにライトの光軸を当てる奴もいる・・・ ええ加減にせんかいな。

外も明るくなってきていたので、起きて外に出ると、結構寒い。
しかし天気は抜群の晴天の様相。
しばらく景色を眺めていたら、そのうちちょうど朝日が顔を出してきた。

御来光を見ていると、実は太陽の動きというのは、
なかなか速いというのが、よく分かる。
あっという間に太陽は全て空へと出てしまった。

直後にカメラを取ってきて、東の空の写真を撮ったが、
寒くて山荘に戻ると、もう朝食が始まるところだった。

朝食が済んでまだ少し時間があったので、
カメラと三脚を持って檜洞丸の反対側の斜面へ、富士山の写真を撮りに行った。

1年前に展望のいい所が分かっていたので、迷うことなくさっさと反対斜面を
少し下った所まで行ったのだが、やたらと風が強くて、ちょっと大変だった。

そこから見える富士山はなかなか綺麗で良かった。

自分の中では富士山って、結構遠くにあるような
イメージなのだが、こうやって丹沢から大きく見えると、
割と近いのかなぁ とも思ってしまう。

山荘に戻り、支度を整えて7時過ぎ頃に出発する。

さてこれからいよいよ、
丹沢の核心部の起伏の激しいコースだ。

とりあえずここのルートを歩けば、
まあ丹沢は一通り歩いたことになるだろうなあ、
などと思いながら、坂道を降って行く。

しかしまあのっけから、激しく降るもんだ。
気温が低い為、まだ体がちょっと硬くなっているのか、
今ひとつ脚の動きもぎこちないような感じがする。

お日様が照っているので、風さえ無ければそんなに寒くもないのだが、
風が吹いていると長袖無しでは、ちょっと寒い感じがする。

乗越付近では、崩壊している箇所もあるが、整備が行き届いていて、危険な感じは無い。
乗越を過ぎ、臼ヶ岳への登りを登っていると、そのうち周りにたくさん鹿が姿を現した。

丹沢には結構鹿がたくさんいるらしい。
鹿の写真を撮ろうと粘っていたが、林の中にいるので、
なかなか上手く撮れる位置に出てくれない。

また周囲の林の色と殆ど同じような色を
しているので、これまた分かり難い。

しばらくしても好転の気配がないので、
止めてすぐそこの臼ヶ岳山頂で休憩した。

北東の方には蛭ヶ岳がすぐそこに大きく顔を見せていた。

ここからしばらくは穏やかな道を歩き、いよいよ蛭ヶ岳の登りに差し掛かる。
本格的な登りはここが最後だ。

えっちらおっちらとゆっくり登って行くと、見覚えのある広い山頂に出た。
人が少なく喉かな感じだが、陽射しの割には風が冷たくて、じっとしていると結構寒かった。


   蛭ヶ岳山頂より富士山     宮ヶ瀬ダムの向こうが東京

昼食は姫次でということになり、ちょっと写真を撮ってから山頂を後にして、降り始めた。
前に来た時は普通の登山道だったのだが、
いつの間にかすっかり整備されて、綺麗な丸太の階段だらけになっている。

ある程度降ると、穏やかで柔らかい土の登山道をのんびり歩くようになる。
周囲を見渡すと相変わらず、初冬の陽だまりハイキングの雰囲気が続く・・・

姫次が近づくにつれて、唐松の姿も見え始め、
そうなるとちょっと秋のような感じに戻ったような雰囲気だ。

しばらく歩いて原小屋平付近の広場へ来ると、休憩している人たちが結構いた。
飯食ってる人や、昼寝している人など・・・

ふと横を見ると、な〜んか見たことのあるような背中が・・・・・

ちょっと横の方から覗くと、その人もこちらを見た。
あ−、やっぱり〜  またしても YAMAcat さんだった。

ついこの前も槍ヶ岳へ行く時に、
槍沢ロッジで偶然会ったばっかりなのに、
まあよく会うもんだなあ・・・

今日は一人で沢登りをされているとの事だった。

しばらく話した後、私たちは姫次へと向かった。
たいした登りではなかったのだが、ちょっと疲れていたせいか足取りが重くなっていて、
随分ゆっくりになってしまっていた。  ( 何故だか疲れていた・・・ )

姫次で昼食となったが、カップラーメンでも食うかななんて考えていたが、
水が無かったことに気がつき、またしても間抜けだなあと思ってしまう。
まあ本来はパンを食べる予定にしていたから、困りはしなかったのだけどねえ・・・

姫次から先は緩やかな降りがず〜っと続く。   八丁坂ノ頭から分岐して東野へと向かう。
さすがにこの時間では、人に会うこともなく、どんどん降りて行く。
途中ぐらいまで降りてくると、初冬の雰囲気だったのがまた秋の色づいた景色に戻ってきた。


     葉も綺麗な秋色          秋色のトンネル

人口植林の真っ直ぐの林に入ると、車道はすぐそこだった。
車道を進み、そのうち住宅街を抜け、バス通りに出たが、
東野のバス停まではちょっと離れていたので、もくもくと歩き、そのうち東野バス停に到着。

やれやれ、あ−終わった−・・・と思い、ザックを降ろしていたら、どうも様子がおかしいようだ。
先に来ていた登山者の兄ちゃんとダンディーさんとが、時刻表を怪しげに見つめているので、
どうしたの?と聞くと、どうやら土日はここにはバスは来ないらしい。

すかさず頭にはタクシ−かあ、と軟弱な考えが浮かんだのだが、
スパルタのダンディ−さんの一言で、歩いて30分程の温泉の所まで歩くことにされてしまった。
登山の途中なら特に何とも思わないけど、終わって気が抜けてるとなかなかダルく感じてしまう。

がしかしこれが不思議なことに、気合が入ると全然きつさが無くなってしまう。
歩いて30分なのに、次のバスの時間までは27分しかなかったのである。

しっかり競歩会のような速度で歩いてしまった。  なんと18分ぐらいで着いてしまい、
待っていると温泉の小型バスが迎えに来たので、それで温泉まで行く。
温泉前で次の藤野行きのバスの時間を見ると、なんと約1時間も後じゃないかあ・・・

いっしょにバスで来た人たちはさっさと温泉に入りに行ったが、
私たちは時間が中途半端やなあ〜ということで、洗顔だけして、バスを待つことにした。

するとそこへ子供連れの夫婦が来たので、
次のバスまで45分もあると言うと、 長げ〜〜〜!! という話になった。

タクシーの方がいいけど、ここタクシー呼べるの? などと話していると、
なんと渡りに船で、そこへ温泉で人を降ろした空のタクシーがちょうどやって来た。
なんてラッキーな私たち・・・ ( 喜 )      予定のバスには乗れなかったものの、
タクシーのおかげで、元通りに予定していた電車には乗れたのだった、めでたしめでたし。

帰りに立川で居酒屋に寄り道して帰ったのだが、
寒い状態で山道を歩いたせいか、その後2〜3日は脚が筋肉痛になり、
なかなか階段の登り降りをすると、脚がビリビリしていたのだった。
う〜ん、やっぱり冬山には向かない軟弱な体らしい。

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