2007/08

北アルプス

裏銀座・雲ノ平・高天原

ここのところ、北アルプスの稜線に登っていないことや、面倒な山や日数を要する山は、
行ける時に行っておかないと、ということから、久しぶりに長い日数をかけて
手付かずで残していた、雲ノ平や高天原エリアへ行ってみることを計画。

しかしそんなに気合い十分で計画したわけではなく、本当に行くのかなというような
半信半疑の状態で迎えた7月。     今年は梅雨が少ないという予想だったが、
実際には7月下旬になっても、なかなか梅雨が明ける気配がなく、
どうやら関東甲信越地方の梅雨明けは8月にズレ込む気配が濃厚・・・

8月の初頭にようやく週間天気予報で晴れマークが並ぶようになり、
どうやら梅雨明けしそうな気配が見えてきた為、7月末から8月頭の週で先ずは検討。
晴れマークが並ぶ火曜日以降を休みにすることにし、日曜日に買い物、
そして最初の二泊分の小屋の宿泊予約をして、さあ行くことが決定〜〜 と思ったら、
なんと日本の南海上に台風5号が発生し、足早に日本にやってくる予想じゃないか。
しかも一番大事な3〜4日目頃に東日本を直撃の予想・・・   ふざけるなぁ−!!!

しょうがないのでその日の夜に中止・・・   いや、延期を決定。
さすがに台風じゃ仕方ないねえ。
幸いなのは、月曜日に休暇申請を出す予定だったことで、
休みにしてからではとんでもない休暇の損失となるところだった為、不幸中の幸いである。

休みの気分だったのに仕事に行くと、どうも気分が浮いた感じだ。

その週は台風の通過とその後の晴天予想で、ずっと週間天気予想に釘付け。
台風は金曜日には日本海を北上する予想だが、どうも土曜日は怪しい天気だ。
そして日曜も甲信越はグズつきが残る様子の為、更に出発を一日延期して日曜夜の出発に。
さすがにそれ以上は延ばせないので、土曜日の山用品の買い物ツアーに参加し、
日曜日に月曜と火曜分の小屋の宿泊を予約。    今度こそは大丈夫か・・・

08/05 (日)  調布 → 中央道 → 豊科 → 七倉
08/06 (月)  七倉 → 高瀬ダム → ブナ立て尾根 → 野口五郎小屋
08/07 (火)  野口五郎岳 → 水晶岳 → 鷲羽岳 → 祖父岳 → 雲ノ平山荘
08/08 (水)  雲ノ平 → 龍晶池 → 高天原温泉 → 高天原山荘
08/09 (木)  高天原 → 水晶池 → 水晶小屋 → 野口五郎岳 → 野口五郎小屋
08/10 (金)  野口五郎岳 → 三ツ岳 → ニセ烏帽子岳 → ブナ立て尾根 → 高瀬ダム

08月 05日 (日)     晴れ

昨日の宴会で調子にのって酒を飲み、また良くないものを食べたのか、腹の調子が良くない。
まずいねえ、山行の為に体調を整えてきたはずなのに・・・
よりによって前日に持病の腸がおかしくなるとは、やれ困ったぞ。
とりあえず散髪を済ませて、荷物の準備をしていると、既に夕方遅い時間だ。

何となく19時頃に出れば良いかな、ぐらいの予定だったが、
予定より少し遅れて、19時半頃に車をスタートさせる。

しかし本当に都心より西側に住んでいると、山に行くには便利で良いね〜
車で出かける場合は、特にそう感じる。
千葉にいた頃は都心を抜けるだけでも一苦労だったのに、
今は混んでいても調布 IC まで車で10分程度だから、もう中央道なのだ。

何がしか忘れ物があるのではと考えていると、やっぱりひとつだけあった。
星を撮る時に必要なケーブルレリーズだ。
IC に着く前に気付いたし、近いから引き返しても良かったけど、
星はあまり奇麗には撮れないことが多いから、まあ良いか。
これが後悔にならなければいいけど・・・   と、祈りながら中央道に入った。

空いている中央道の下り線をガンガン走っていると、対向側はやはり混んでいた。
八王子の先や大月付近は、行楽帰りらしき車が渋滞を作っている。
やっぱり日曜の夜に下り線を走るのは、空いていて良いねえ〜♪
21時過ぎにはもう諏訪湖SAに着いてしまい、以前の感覚からすると早過ぎるよ。

今日は何も食べてなかったので、軽い食事ぐらいはすることにし、長めに休憩。
日曜の下り線なので、客も疎らでかなり空いていた。

22時頃にSAを出て、豊科 IC へ向かう。
長野自動車道を走る頃には、走っている車もとても少なく、ちょっと寂しいぐらいだ。

豊科からは一般道を走るが、殆ど車がいないので準高速道路並みに走れる。
途中でコンビニに寄った時に、突如右足の先が攣ってしまい、
なかなか引かなかったので、かなり焦る。
これから登山という時に、足に障害が起こるのは致命的じゃないかぁ〜
お腹の具合はいまいちだし、果たしてどうなるのかと、ちょっと不安・・・

信濃大町付近からはよく知らない道路を走るので、地図を見ながらの走行。
少し迷ったりもしたが、23時半頃に無事に七倉のゲート前に到着。
一応週末にかかっているので、車が置けるかちょっと心配だったが無事駐車完了。

真っ暗の中、空を見上げると満点の星空だ。
明日からやっぱり天気は良さそうだねぇ〜
車の中で24時前にはお休みモードに入ったが、なかなか眠れずに困った。
最後に時計を見たのは、2時半頃だった。

08月 06日 (月)     快晴 後ち やや曇り

目が覚めると、もう外は明るい。     時計を見ると 5時半だ。

車の外に出てゲートの方を見ると、
なんとタクシーがもう入って行くじゃないか。

あれ〜、確かゲートが開くのは
6時だった筈なのに、なんでだ?
まあ早く入れることは良いことだし、
さっさと支度するか〜

洗顔を済ませて荷物を持って、タクシー乗り場へ行く。
さっき登山者を乗せて行ったばかりなので、タクシーが今はいない。
待ちながらおにぎりを食べていると、タクシーが戻って来た。
相乗りなのかなと思ってしばらく待っていたけど、事態が変わりそうにないので
いつ乗れるの? と聞いたら、いつでも乗れるよ、だって・・・
早く言えっ−!!    時間が勿体ないじゃないか−!!

一人でも定額で乗せて行ってくれるところは便利だね〜
後日ここへ下山することを話したら、だいたい昼間は高瀬ダムで客待ちしているし、
いなければ当番のタクシーがいるから電話すればすぐに来てくれるそうだった。

以前はゲートの開場が 6時だったし、
混雑期でゲート開場待ちのタクシーが渋滞していたから
高瀬ダムに着くのは 6時半から 7時の間だった。

今は要望が多くてゲートは 5時から開くのだそうだ。
初日の行程を考えると、
この 1時間の早まりはとても有意義だ。

高瀬ダムでタクシーを降りると、6時半前。
すぐに歩き始める。

長めのトンネルを抜けて吊り橋を渡ると、
仮設登山道ができていた。
もう一度吊り橋を渡ると、正面に不動沢の滝が見え、
ブナ立て尾根の入り口だ。

見上げると、稜線上には全く雲の欠片もなく、今日は快晴だ〜
しかしここから登って稜線に出るのはお昼前だろうから、稜線歩きは午後。
昼からは雲が湧きそうなんだよねぇ・・・    ま、悩んでもしょうがない。
8年前の時は、稜線にグレーの雲がかかっていて稜線が見えなかったのだから
それに比べれば雲泥の差だ。

緑の中を入っていくと、すぐにステンレスの階段を登る。
確かにこういうところがあったのは覚えていた。
陽射しは強いけど、樹林帯の中なのでわりと涼しくて済む。

月曜の朝のせいか、周囲に人の姿は見えない。
7時半頃なんて、登山では1日がスタートしている当たり前の
時間だけど、会社に行っていれば、まだ仕事は始まっていない。
月曜から入山なんて随分と贅沢な気もするけど、
たまにはこういうのも良い。

それにしてもやっぱりここは急登だねぇ〜
結構息が上がるし、高度もどんどん稼ぐ。

緑の隙間から見える稜線の青空が、とても美しい。
午前中の早い時間に稜線に出て
素晴らしい眺めを楽しみたいけど、まだまだだ。

背後に濁沢の滝を見ながら高度計を見ると、まだやっと半分ぐらいかな・・・

途中で何度か休憩しながら登って行くと、
そのうち見覚えのある休憩場所に出た。

ブナ立て尾根は登山道に
適当な間隔で番号が設定してあり、
下の 10番から上に上がるほど番号が軽くなる。
ここは 6番なので、まあ真ん中だ。

8年前の時は烏帽子小屋まで
約4時間半だったので、
同じペースであれば、
烏帽子小屋に着くのは 11時頃になりそうだ。

更に登った所で再び休憩していると、
上から降りて来た人たちが休み始めたので、
少し話したら、金曜からの入山だったが金曜土曜は
雨だったそうで、やはり台風の影響があったそうだ。

稜線がだいぶ近くなってくると、右側が崩壊している場所に出る。
この辺まで来るとだいぶ近くなってきている筈なんだけど、
樹林帯がなくなってくるので、今度は強い陽射しが厳しくなってくる。
緑と青空は美しいけど、暑いぞ〜

最後の道標を超えると、
すぐ下が烏帽子小屋だ。

到着は 10:50 で、
まあまあ予定通りの時間だね〜

前回と違って、
小屋の前から山並みが凄くよく見えるし、
これから向かう裏銀座の稜線方面もよく見える。
( 8年前の時はガスで何も見えなかった )

小屋の前にちょっとしたお花畑があるが、
白い駒草も咲いている。

11:15 頃に烏帽子小屋を出発。

裏手の登った所から振り返ると、北側の烏帽子岳方面も良く見える。
前方にはテント場があり、傍には池もある。

西側を見下ろすと、
高瀬ダムの緑色の水がよく見える。

少し進むと駒草の群落地帯で緩やかな登り斜面だ。
8年前に、ここの少し上の方から、
青空が広がり、喜んで写真を撮った記憶が蘇る。

緩い斜面を登って行くと、右カーブした辺りで左側の展望が開けて槍ヶ岳が見えた。
おおっ〜〜、槍だあ〜!!   やっぱり槍ヶ岳が見えると、結構感動ものである。

登山道の右側の這松の中に、
雷鳥の親子の姿が見えた。

東側の餓鬼岳の稜線付近には、
絵に書いたような夏雲が湧き立つ。

今日は夕立ちが来るのかなぁ・・・

しばらく休んでから急登を登ると、
直角に左に折れ、見覚えのある道標地点だ。

更に登ると、山の山腹を巻くようにガレ場を進む。

ガレ場を超えると、再び穏やかなザラ地となり、右手には三ツ岳らしき山だ。
登るコースと山腹を巻くコースとに分かれているじゃないか。
覚えが無いけど、こんなのあったっけ・・・ ???

晴れているので、
本来なら展望コースを行きたいところだが、
なんせ疲れているので、
山腹を巻く楽チンコースを選択するのに
時間はかからなかった。

少し先には雪渓があり、その下にはお花畑が広がっていた。
雪解け水に指を入れてみると、冷たいねえ〜〜  ( そりゃそうだ )

この先ですぐに稜線側のコースと合流し、後はひたすら岩稜帯のコースが続く。
天気は晴れているけど、雲がやたらと多くて、あまり素晴らしい晴れではないねぇ。
槍ヶ岳の方も、ガスがかかったり取れたりで不安定だ。

岩場が多い道だったことは記憶があるけど、
以前はガスに巻かれて
周囲の景色が全く見えてない状態だったので、
初めて歩くコースという感じがする。

地図の時間だと、野口五郎小屋には 15時頃に着けば
予定通りだが、目の前の一山を超えた先までだと
15時には着かないなぁ〜と思いつつ歩いていると、
突然目の前に小屋の青い屋根が姿を現す。
一山向こうだと思っていたので、
ゴールが近くなってとても嬉しい〜♪

受け付けを済ませると、しばらくゆっくりする。

通常なら夕食まで時間があるし、
とりあえずビール〜、ってところだが、
お腹の具合に不安があるので、
今日はとりあえず止めておくことにする。

今日は月曜だから普段なら空いているんだろうけど、
ハイシーズンだし混み具合はどうだろう?
一応詰めた状態の割り当てで、人が増えなければスぺースを広げるそうだ。

夕方、まともに食事をしたが、まあ普通に食べることができて良かった。
とりあえずお腹の方が大丈夫なようだ。
おかずに天ぷらが出てきたし、水分不足なのでやたらとお茶が美味い。

食事が終わる 17時半頃には周囲はガスに巻かれていて、何も見えなくなっていた。
19時前にTVで天気予報をやるので見ていると、一応今後も晴天は続くらしいけど、
やはり雲は多めで、午後から雷雨に注意というのは変わらない。

結局、客は増えなかったようで、一人一枚の布団で寝ることができて良かった。
寝るスペースは、山小屋での大きな問題の一つだからねえ〜

ちょっと暑いせいもあるけど、いつものようにやっぱり眠れない夜が続く。
夜遅い時間には、小屋の屋根が雨の為にバチバチと音をたてていた。

08月 07日 (火)     晴れ 後ち やや曇り

朝、外に出てみると、雲は多いもののどうやら晴れそうだ。

朝食を済ませて、5時半前に小屋を出発。
もうすぐ東の雲から陽が出そうな感じだが、山頂まで行けるかな?

小屋から少し登って赤牛岳などの稜線が見える付近で、陽が出てきた。
しばらく日の出を撮影した後、野口五郎岳の山頂へ向かう。

上空は一応晴天で周囲の山並みも見えるが、山々にはガスがたくさんかかっており、
本当に晴天になるのかどうも怪しい雰囲気だ。
それでも前回よりははるかにマシな状況なので、それなりに写真を撮る。
周囲からも今日は天気は良くなさそうだねぇ〜、という声が聞こえてくる。
天気予報でも今日は曇りで、あまり良い予想じゃなかったしねぇ・・・

野口五郎岳を後にして、真砂岳方面へと降って行く。
以前この辺を降った時に、
視界が100m程しか見えなかったことを思い出す。

向こう側の水晶岳の稜線には
ガスが纏わりついていて、嫌な感じだ。

高山植物に朝日が当たって、
なかなか清々しいが、
周囲の山並みにガスが
かかっているのがちょっと残念だ。

こんな岩場なんてあったっけか・・・
以前はガスに巻かれていたせいも
あるだろうけど、全然覚えとらん。

上空にはちょっと不気味な
レンズ雲らしき姿があちこちに見える。

やっぱり今日は天気が
崩れるのだろうか・・・

アップダウンを繰り返して
東沢乗越へ来ると、
後立山連峰が見えた。

山脈の稜線にはガスが多いが、
上空は晴れているので
まあまあの景色だ。

ここから水晶小屋までは赤土のガレ場が続く。

一部鎖場があったことは覚えていたけど、
こんなにアップダウンが激しかったかな・・・

水晶小屋は見えているものの、最後に急な登りやなぁ・・・
しかも暑いし〜

息を切らしながら急登を登ると、水晶小屋に到着〜
ちょうど 8時だ。

水晶小屋は奇麗な建物に建て替えられていた。
今年の冬にヘリが墜落した事故があって、
その関係で建て替えになったそうだ。
収容人数も今までの2倍の40人になって良かったねえ〜

なんせこれまでの水晶小屋は
掘っ立て小屋って感じで、
収容人数も20人しかなく、兎に角狭くて、
混雑時はまともに足を伸ばして
寝ることすらできない状況だったからだ。

8年前の時、ここに泊まる予定で予約もしていたのだけど、混雑で大変だからできれば
三俣山荘まで行ってもらえないかと言われて、考えた末に時間が早かったこともあり、
源流ルートで三俣山荘まで行ったので、ここには泊まらなかったが、
翌日の双六小屋で、水晶小屋に泊まった親子といっしょになり、混雑時の水晶小屋の
悲惨さを聞いて、混雑期は絶対泊まるところではないと確信したのだ。
でも建て替えられたから、今後はだいぶ良くなったと思うけど。
地理的にはとても良い場所にあるしねえ〜

途中から一緒だった男性は、赤牛岳を目指していたが天気が怪しそうなので
どうしようかな〜と言っていたけど、水晶小屋に到着する頃には、
赤牛岳の稜線からガスが消えて見通しも良くなっていたことから、
サブザックのみで赤牛岳を往復することにしたそうだ。
15時までには戻って来れるだろう、とのことで、水晶岳へいっしょに向かう。

私は写真を撮りながらなので、
すぐにいっしょの男性とは離れてしまう。
彼は時間に余裕がない状況だからねえ。

前回は水晶小屋まで来た時点で小雨が降り出した為、
水晶岳へ行かなかったから、水晶岳は今回初挑戦だ。
山頂でガスに巻かれませんように・・・  ( 祈 )

水晶岳までは約40分だし、
勾配があまり無い割には山頂近くは岩場が多くて
思ったよりはちょっと大変な印象だ。

だいたい時間通りで水晶岳山頂に到着〜♪
無事に日本百名山登頂が一つ増えたぞぉ〜〜〜

8年前に水晶岳をパスして三俣山荘まで行った時に、
三俣山荘で周囲の人に、この辺はなかなか来るのが
大変なエリアだから水晶岳をパスしたのは失敗じゃないのと
散々言われたが、すぐまた来るだろうから別に良いと思っていた。

しかし、確かにその後なかなか足が向かず、
再び来るまでに8年もかかってしまった。
やっぱり行ける時に行っておく方が良いってことだね〜
登山に限らず、やりたいことがあるなら
やれるうちにやっておく方が良さそうだ。

晴れてはいるが、周囲の山々はガスが多くて
あまり奇麗には見えていない。

槍穂高連峰もガスが多くて、
見えたり隠れたりを繰り返している。

山頂は岩がゴロゴロしていてわりと狭く、記念写真を撮るには向いてない。
山頂の標識も字が分かり難いし、狭いせいで撮影アングルが上向きになってしまう。
そもそも標識の向きと槍ヶ岳とが 90度違っているから、いっしょに写れないし。

あまり長く居てもしょうがないから、 9時頃には水晶岳を後にする。
同じ道なのに、帰りは早く感じた。

水晶小屋に戻った後、少し休んでからワリモ北分岐へと降る。
以前のイメージだとわりと勾配は少なく、ガレ場のような記憶があったけど、
なんか全然違うじゃないか・・・     人の記憶っていい加減だねぇ。

ワリモ北分岐に着くとザックがたくさん置いてあった。
私もカメラと三脚だけ持って、鷲羽岳を往復する為にすぐに出発。

直前まで鷲羽岳に行くかどうか迷っていたけど、明後日の復路の時に晴天とは限らないし、
その後はいつ来るか分らないから、やはり行ける時に行っておくことにしたのだ。
しかしワリモ岳を超えて鷲羽岳へ再度登るには、なかなかきつそうな気が・・・

右下には8年前に降った黒部源流が見える。
予定を押しての三俣山荘への移動、そして小雨が降る中、
前後に人の姿が無く、ここで足に障害が起きたら死ぬのかな・・・
なんて思いながら、心細い状態で降った記憶が蘇った。

正面の鷲羽岳までは、
まだまだありそうだねぇ〜
アップダウンもあるし、疲れそう・・・

結構アップダウンはあるものの、
空身のせいで予想よりかなり早く到着する。

地図のタイムで 1:10 のところを
0:40 で着いてしまった。

そういえば8年前に
三俣山荘から鷲羽岳を往復した時も、
空身だったせいで、
1:30 のところを 1:00 で登ったんだったねぇ。

鷲羽岳の山頂でも、やはり槍穂高連峰は
ガスがかかったり切れたりしていた。
一応一通り周囲の景色を撮って、
11:30 に山頂を後にする。

これで残っていた鷲羽岳の稜線ルートも
歩いた軌跡として完了〜〜

ワリモ岳の山頂って、どう見ても単なる斜面じゃないか〜

戻りも 1:00 のところを 0:35 でワリモ北分岐に帰着。

ここから急坂をちょっと降ると、すぐに岩苔乗越だ。
休憩していると、そこにいた女性が水場を探していた。
この先で水が補給できないかもしれないから水を補給したいけど、
水場がどこか分らないそうだった。
地図には確かに水マークがあるけど・・・
黒部源流側は確かに水が流れ出していそうだけど、
飲めるかは不明だし、岩苔小谷側は行ったことがないから
分からんしで、結局未解決で終わった。

ここから黒部源流側に少し降りて、黒部へ流れ出す源流の最初の一滴を探してみる。
8年前はここから源流沿いに降って三俣山荘まで歩いたが、誰もいないルートで
しかも予定をオーバーして歩く羽目になり、心細くて源流を楽しむ余裕など無かったのだ。
ここで足を怪我でもしたら死ぬのかな、なんて結構真面目に考えるほど、
寂しい雰囲気が漂っていたんだよねえ〜    天気もどんよりだったし。

というわけでしばらく降りてみたけど、雪渓から水が流れていただけで、
いつかTVで見たような、最初の一滴がポタっというところなんて見当たらんぞ〜
仕方ないから乗越まで戻って、お昼としてパンをかじりながら休憩だ。

ここからは祖父岳を超えてしまえば雲ノ平だ。
まだ 13時前だから、時間的には今日は楽勝そうだけど、祖父岳登るの面倒だねぇ・・・
でもこれより楽な迂回路は無いし、折角だから祖父岳も登らんとね。

祖父岳の登りはあまり大変そうには見えなかったけど、結構疲れた。
這松がウザいし、暑いし、虫も多かった。

祖父岳の山頂は岩場で広いけど、
殺伐とした雰囲気で
あちこちにケルンがたくさんあった。

周囲もガスで展望がいまいちだし、居てもすることがないので、さっさと降り始める。

三俣蓮華岳の裾野には
赤い屋根の三俣山荘が見える。

ようやく雲ノ平エリアが見えてきた。

手前にはキャンプ場、
向こうの方には雲ノ平山荘だ。

いや〜、やっと来たねぇ〜

左下には日本庭園付近の木道が見えるが、
一体どこが庭園なのだ?

近くに行くと、分かるんだろうかねぇ?

下の方まで降りて来ると、
雪渓を横切る部分があったが、
大きな雪渓を横切るとは思わなかった。

木道と合流すると、しばらく休みながら、
日本庭園まで行くかどうか検討。

明日時間に余裕があるとはいえ、果たして山荘からここまで来るだろうか?
そう考えると、今行っておく方が良さそうだけど、疲れているし天気も明日の朝の方が
良さそうだし、まあ良いかってことで、今日は山荘へ向かうことに決定。

テント場も見えるし木道だし勾配も無さそうだし、
ここからはもう楽かなと思っていたら、
現在はテント場を通過するルートが無くなり、
迂回路を通るようにルートが変わっていた。

この迂回路、意外と長く、
狭い這松はあるしゴロゴロの部分はあるし、
おまけに雪渓の通過もあるじゃないか〜

この迂回路、正直な話、結構面倒臭い。

ようやく普通の木道になると、右の方から
木道が合流するのが見えてきた。

これは高天原へ続く道なのかな、などと
思いながら山荘へ向かって行くと、
テント場への分岐点に出る。

テント場の写真でも撮っておくかと思って
撮ろうとしたら、なんとまたしてもカメラが不調。
電源が入るけど切れないとか、マニュアルモードが
利用できないとか、結構おかしい。
しばらく奮闘してようやく復活、手間取ったせいで
山荘に着いたのは 15時を過ぎていた。

雲ノ平山荘でもやはり混雑期の為、1枚の布団に2人になる可能性が高いようだ。
予約無しの客が少ないことを祈るしかない。
荷物を置いて、今日はビールを飲むことにする。
周囲の山並みがガスでよく見えないのが残念だけど、明日の朝に期待しよう。

テーブルで地図を眺めていると、二人連れのオヤジさんたちがやってきたので
しばらく話をしたが、テント泊で槍ヶ岳から来たそうだった。
また、明日は早くから高天原温泉を往復するそうで、温泉は 9時から 13時頃までが
空いており狙い目だそうだ。   午後と朝は高天原の宿泊客が利用するが、
午前中は高天原にいる意味があまりないから、基本的には登山者がいないらしい。
確かに言われてみればそうだよねぇ〜
午前中の時間帯に風呂に入っているとしたら、一体どういう行程なのかなと思う。
だから午前中に貸切状態で温泉を楽しむのが最高の贅沢なのだそうだ。

明日の朝は雲ノ平を散策する予定だから、 9時に出発してもだいたい 12時頃かぁ・・・
まあ明日の散策の状態を見て調整するとしよう。

東側には水晶岳が奇麗に見えており、
夕焼けした水晶岳は美しいらしいが、
西の空には何とも言えないヤバそうな
グレーの雲がたくさん犇めいている。

明日の朝は果たして、
天気は大丈夫なのかな・・・

夕食までの間は暇なので、自分のスペースで横になっていると、
隣の方からおしゃべりが聞こえてくるので聞いていたら、
なかなか休みが取れないとか、お天気が良くてラッキーだったとか、
そういう話が聞こえていたけど、話相手の人がビジネス経営をしていて
普段自分では仕事はしていないから、いつでも来たい時に来れるから良いと
いう話をしていた。  これって右側クワドランドの経済自由人じゃないか〜

やっぱり天気を見ながらいつでも自由に山に来る為には、
経済的に自由になって、勤労から解放される必要があるのだ。
まさか北アルプスのこんな奥深い場所で、
経済的自由を再認識させられるとは思ってなかった。
でも片方のおじさんは、それだと良いですよねぇ・・・  で終わっていた。
そう、 良いですよねぇ〜 で終わっているあなたは、そうなれないのだ。
こんな所まで来て自己啓発やビジネス系の話に触れるとはねえ。 ( 笑 )

雲ノ平山荘の夕食は、手作り石狩鍋だった。
以前はレトルトの石狩鍋を出していたそうだが、味とゴミの問題から
現在は材料を取り寄せて、手作りで作っているそうだ。  味は結構良いよ。

19時前の天気予報を見ていると、ここは愛知の電波を受信しているらしく、
名古屋や岐阜、三重の天気をベースに伝えていた。
どうやらここのところ、晴れてはいるけど、ちょうど甲信越地域が太平洋高気圧の
縁を回る雲の通り道なっているそうで、晴れでも雲の多い天気なのだそうだ。
だから晴れの割には、やたらと雲が多くて不安定な天気だったのか。
しかし明後日以降は太平洋高気圧が西に勢力を拡大する為、安定して夏の晴天が
続く見込みとのことで、その通りなら裏銀座も復路の時には良い景色が見えるかも〜

結局客は増えなかったようで、一枚の布団で寝ることができたが、
全体として静かだったのに、よりによって隣のオヤジが鼾野郎だ・・・
本当に上から厚い布団でも被せてやりたくなるが、
この感情は一体どこに持って行けば良いのだろう?

山小屋は緊急避難的な要素を持つ施設なのは理解しているが、
自宅と違って公共の場所なのだから、他人に迷惑をかける行為に対しては
何らかの制裁なり罰なりを施さないと、迷惑をかけたもん勝ちじゃないか。
他人に迷惑をかけずにいる者が寝不足で迷惑を被り、周囲に迷惑をかけている者が
ぐっすり眠れて翌日もスッキリ健全登山とは、理不尽な話だと思うがどうだろうか?

そんなことを考えていたせいで、ただでさえ眠れないのに余計に眠れなかった。

今夜も昨夜同様、夜中に雨が降っていた。

08月 08日 (水)     晴れ

朝、外に出ると、ガスが立ち込めていて周囲の景色は見えない。
視界は 100 〜 150m 程度という感じだろうか。
朝の美しい庭園風景を期待していたけど、これじゃ〜全然見えないねぇ・・・
しばらく上空に目を凝らしていると、微かに青い部分が薄らと見えるから、
根本的な悪天候ではなく、低い部分にガスがかかっているだけで、
上空には青空が広がっていることは予測できるけど、景色が見えなくては意味がない。

朝食前には既に多くの人が行列を作っていた為、今朝はゆっくり2順目で食べる。
今日は楽な行程なので、朝早く出発する必要はないのだ。
同じテーブルには母親に連れて来られていた小学生の女の子が二人いた。
小学生で雲ノ平を経験できるとは、なんて贅沢な・・・   でも価値は分かるのかな?
価値を知ったら、大人になってからまた来るかもね。

6時から山荘を出て庭園巡りをしてみる。
先ずはテント場の方へ歩いて行くと、昨日の二人連れのおじさんたちと会った。
予定通り、高天原の温泉を往復してくるそうだった。

テント場分岐の先の、来る時に見かけた木道の
分岐は、高天原への道ではなくスイス庭園への
道だと聞いたので、行ってみる。

スイス庭園からは、北側の高天原及び
赤牛岳の稜線だけは奇麗に見えたが、
それ以外の方向はガスで殆ど見えず・・・

スイス庭園を出て来た道を戻り、山荘の手前の分岐から西側へ続く道へ入る。
すぐ先に高天原へ続く道との分岐があったが、見るとまともな道とは思えないが・・・

西側のアルプス庭園や
アラスカ庭園を目指して木道を歩く。

上空のガスもだいぶ取れてきて青空が出てきたが、
山々の稜線には依然としてガスが纏わりついている。

しばらく歩くと、左前方に小高い山が見えてきて木道が続いているのが見えた。
祖母岳のようで、あそこに登れば槍方面が見えるのかな・・・?

しかし祖母岳との分岐まで行くと、祖母岳への木道は危険個所があって整備中の為、
歩行禁止の看板が出ていて、入れなかった。
しょうがないのでアルプス庭園を諦めて、アラスカ庭園へと更に西へ歩いてみる。
這松が多い木道を進むと少し開けた場所があり、行ってみると奥日本庭園と書いてあった。
地図には書いてないけど、庭園が他にもあるんだねぇ〜

黒部五郎岳や双六岳方面の南側はガスであまり景色は見えないが、
赤牛岳や薬師岳、北ノ俣岳などの北側はガスが取れて、山並みがだいぶ見えている。

アラスカ庭園までは行ってみようと思っていたので、更に西側へと木道を歩いてみるが、
だんだん草木が生い茂ってくるし、勾配も降りになってくるし、
本当に進んで良いのか不安が過ってくる。
もしかしたらさっきの奥日本庭園が、実はアラスカ庭園なんじゃないのか・・・

今日の予定が純粋に雲ノ平散策のみならば、
もう少し進んでいるところだけど、
雲が多く展望もいまいちそうだし、
高天原温泉に入る時間帯の問題もあったので、
ここで引き返すことにして、山荘へと戻る。

結局雲ノ平では、雑誌に出ているような
奇麗な庭園風景は撮れなかったねぇ〜

山荘に戻って荷物を準備して、
7:50 頃に高天原へ出発。

山荘前の分岐からいきなり
歩き難いゴロゴロの道が続く。
狭い這松の道を進み、丘の上まで来ると、
展望は割と開けるが、そこから先への道も
同じようなゴロゴロ道が続くのが見え、
ちょっと気が重い。

後ろを振り返ると雲ノ平だが、
な〜んか写真で見るイメージと違うなぁ・・・

天気が良ければ
また違ったんだろうけどねぇ〜

一度降って再び登り返すと、
向こうに何やら人口の施設が見える。

施設の所を通過したけど、
何の施設かよく分からなかった。

そこを通過すると、すぐ先で
奇麗な風景が目に飛び込んできた。
雪渓と池と薬師岳がセットで絵に
なっていたので、しばらくここで撮影だ。

撮影した後に少し進んでみると、
標識があり、奥スイス庭園と書いてあった。
こんな所にも庭園が隠れていたのか〜
雑誌にあるような写真が撮れて良かった。

ここを過ぎると、しばらくゴロゴロ道が続き、
そのうち樹林帯へと入っていく。

景色はあまり見えなくなるが、
暑い陽射しからは解放されて少し涼し気だ。

極たま〜に人とすれ違い、
ちょっと休憩も兼ねて
長く話すこともあったが、
三俣山荘にテントを
張りっ放しで、温泉に入りに
来る人が結構いるみたいだ。

樹林帯の中の急坂を降るが、虫がやたらと多くてかなりウザい。

高天原峠の分岐を過ぎ、
岩苔小谷の沢へと向かうが、
ゴロゴロ道が非常に歩き難い。

勾配は緩いから良いけど、
とっても歩き難くて面倒なのだ。

そのうち大小合わせて3本の沢を超えると、
穏やかな木道が多くなる。

周囲の景色を眺めていると、どことなく上高地〜明神間の右岸の光景を思い出す。
この辺まで来ると、本当に手付かずの自然が残っているんだろうねえ〜

木道をどんどん歩いていると、水晶池への登山道との分岐があるが、
道標も小さいし、ボーっとしていると見落とすほど目立たない。
朝の暗い時に通ると気付かないかもしれないねえ、ここは。

しばらく歩くと目の前が開けて、
左手側に湿原が広がった。

と同時に、すぐ向こうに
高天原山荘の赤い屋根が見える。

湿原を眺めながらちょっと歩いていると、
朝すれ違った2人連れのおじさんたちと遭遇。
温泉は空いていたそうで、これからあの
悪路を雲ノ平まで戻るのは大変でしょうと
言ったら、空身だから全然平気ですよ〜
とのことだったが、私は空身でも嫌だ。( 笑 )

すぐ先の山荘に着いたのは、10時半頃。

小屋には寄らずに、
そのまま温泉への登山道を進む。
若干降り気味で、温泉に入った後に
ここを戻るとちょっと汗をかきそうだ。

赤土のゴロゴロした沢まで来ると、
高天原温泉に到着だ。
空いている温泉に先に入るか、
龍晶池に行ってから温泉に入るか迷ったが、
既に入浴中の人もいたし、
入浴後に汗をかくのも減らしたかったので、
龍晶池へ先に行くことにする。

温泉場から山道を先に進むと、蛇だのトカゲだの蛙だのが結構いる。
一体この先、何が出てくるんだろうかと思ってしまう。
早く着かないかな〜と思いながら歩くこと15分ぐらいだろうか、龍晶池に到着。


雑誌で見た写真は日光黄菅が咲き乱れている画像だったので、
イメージとはちょっと違ったが、薬師岳を背景にした木々の雰囲気は同じだった。
なんか、上高地の田代池に似ているような感じがするよ。

池の左側半分を回って戻ることにする。 ( 右側は行けるのか不明 )

戻りは思ったより早く、12 〜 13 分程度で温泉場へ到着した。
露天風呂は全部で五つあり、沢の右岸が下から女性用、混浴用、女性用、
左岸には混浴用が二つある。   女性用にはちゃんと簾で囲いがしてある。
左岸側の二つは囲いが全く無く、剥き出しで着替えを置くスペースも無い。


右岸真ん中の露天風呂へ行ってみると、先客が一人いたが、
午後は混むと聞いていたので、それを考えるとラッキーなんだろう。
お湯の温度はちょうど良くて、わりと長めに居られそうだ。
周囲は緑、下には沢が流れ、上空には夏の陽射しと青い空、
本当に天然の温泉で、登山者しか来れない秘湯だねえ〜♪
片道に山道歩きで二日はかかるから、一般人が来れないというのも良い。
登山者は来るけど、一般の温泉の混雑に比べれば、たがが知れてるしね〜

折角なので対岸の露天風呂に入ってみたかったが、木道の橋を渡ると
結構回り道だし、沢の水が冷たくてちょっと沢は渉れそうにない・・・
しばらく諦めていたら、いっしょだった人がいつの間にか対岸の風呂にいるじゃないか。
そのうち戻ってくる様子だったので、どうやっても戻るのかなと見ていたら、
沢を横切っている・・・   それにあまりたいしたことなく渉れているみたいだ。

ってことでチャンレンジしてみることにして渉ったら、行けないことはなかったが、
渉った直後は足が冷た過ぎて、しばらく動けなかった。
沢幅は3m程度だったけど、これ以上幅があったら駄目だったと思う。

対岸にある剥き出しの露天風呂は小さいので、一人か二人入るともう一杯だ。
上にある方の風呂は、沢から直接お湯が流れ込んできていて本物のかけ流し。
しかもお湯の色が透明っぽいのに青白くて奇麗な感じだ。  ちょっと熱いけど。
天気にもよるんだろうけど、露天風呂から出ていても全然寒くないのも、とても良い。
結局私たちが露天風呂を利用している間は、ずっと全部で4人しかいなかった。
( 女性用の方に人がいたかは分からないけど )

それにしても贅沢な時間を過ごしているなあ、
と本当に感じる。

普通の生活の中でも温泉に入る機会はあるけど、
こんな状態の温泉はないからね。
やっぱり長い時間かけて
苦労して歩いて来るだけの価値はある。

どれくらいのんびりしただろうか、
南西側の空には雲が広がってきていたので、
午後のなると人も増えそうだし、
そろそろ小屋に戻ることにして
温泉場を後にする。

普通は下山するまでお風呂はお預けだから、泡ものが使えないとはいっても
途中で風呂に入れるのはやっぱり良いねえ。
折角着替えたので、汗をかかないようにゆっくりめで小屋へと戻る。
途中何人かとすれ違うが、やっぱり午後になると温泉に来る人が増えるようだ。

1:20 頃に小屋に到着し、受け付けを済ませると、どうやら今日はそんなには
混んでない様子で、一枚の布団で寝られそうな気配だ。
表のテーブルで今日は風呂上りのビールを頂く。
ここは飲み物が水に浸けてあったので、そこそこ冷たくて良い。
小屋からは右前方に水晶岳がはっきり見えており、天気もすっかり青空だ。
どうやら今日は、夕方もこのまま天気が良さそうな感じだねえ〜

夕食まで時間があり過ぎるので、一度も使っていない湯沸かしセットを使って
梅昆布茶を飲んでみる。 同じテーブルのおじさんは、明日は温泉沢ルート経由で
赤牛岳を通り、奥黒部ヒュッテまで行くそうで、天候によっては水晶岳も寄るそうだ。
結構長くかかりそうで、 3時頃出るだろうとのこと。  ( だろうねぇ・・・ )

夕食までまだ時間があったので、玄関のところのストーブに当たってみる。
そんなに寒いわけじゃなかったけど、何となく心地良かった。

夕食は2順目で 17時半頃から。   蕎麦やら冷奴やらがあって、結構豪華〜
同じテーブルになった夫婦連れ? は、今回8泊9日だって・・・  ( 長い!! )

この小屋は水が自由が補給できるので有難い。
寝る前に 3.5L 分のペットボトルを満タンにして就寝だ。
自分の割り当てのスペースは窓側で、カーテンなんて無いから、
寝ながらにして星が見えた。   夜この天気なら明日は良い天気だろう。

それにしても何故か室内の空気がヒンヤリしている。
ガラス窓一枚だし、建て付けもいまいちだからかな?
しかし、おかげでわりと寝易い状況だった為、普通の小屋泊時よりは眠ることができた。

08月 09日 (木)     快晴

まだ暗いうちに目が覚めたので、外に出てみると星がたくさんあるぅ〜
しかし三日月が煌々と照りつけている為、ちょっと明るく星の見物にはいまいち。
とりあえず星の写真を一枚だけ撮影してみるが、撮れるかな・・・?

寝床に戻ってしばらくまた布団に潜っていると、周囲で行動を始める人が出てきた。
今朝は弁当にして早く出かける人が多いらしく、小屋で朝食を食べる人は
とても少ないらしい。   自分も早く出ると思ったので弁当にしたのだけど、
結局ゆっくりしてしまい、小屋で朝食を摂れば良かった、という感じになってしまった。

岩苔乗越までの谷ルートは水晶岳の西側の谷間なので、朝は陽が当たらず
結構暗いかなと思って、少しゆっくりした出発にしたのだけど、
出発した 5時半頃はもうすっかり明るくなっていた。
今朝は空に全然雲が無く、快晴だ。
今日から太平洋高気圧が西に勢力を拡大して、安定した夏空になるという予報は
どうやら当たっているようだね〜 ( 喜 )

朝一なのでスタスタ歩いていたら、
やっぱり大東新道と岩苔小谷との
分岐点を危うく見逃すところだった。

比較的緩やかな傾斜の登山道を登って行く。
途中、たまに急坂になる所もあるが、
全体としては陰で涼しくあまりきつくない。

6 時過ぎに水晶池の入り口に到着するが、
ここも先客のザックがあったから分かったけど、考え事などしながら黙々と歩いていたら
見落としてしまう可能性があるほど、池への入り口の宣伝が消極的だ。
もうちょっと目立つようにしようよ〜

2 〜 3 分ほど道を降りて行くと、大きな水晶池が現れた。


風が無く水面に波が無かったので、
鏡のように周辺の景色が映っている。
陽が当たっていると
また違った雰囲気なのかもしれないね〜

メインの登山道に戻り、岩苔乗越を目指して歩き出す。

正面には樹林の合間から、
雲ノ平の大地や祖父岳が見え、
その上には真っ青な空が広がっている。

樹林帯もそろそろ終わりのようで、
展望が開け始めてきた。

このルートは水晶岳の西側の谷間なので、
朝から歩く分には陽が当たらず
暑さからは解放されるから助かるね〜
稜線には既に陽が当たっているので
上を歩いている人たちはきっともう暑いだろう。

この付近には、車百合の花が多かった。

だいぶ進んできたところで、
とうとう水晶岳の背後から朝日が姿を見せる。
岩苔小谷の沢沿いに進むようになり、
後ろを振り返ると、谷の向こうに薬師岳が見えた。

早く稜線に出て槍穂高連峰などの
周辺の山並みを見たいと、何度も思ってしまう。

沢の所で少し休憩して沢の写真を狙って見るが、
光線の向きと沢の流れの向きが殆ど同じなので、
どうも、今ひとつパッとしない感じだ。


沢に沿って登ると、高山植物畑があった。
かなり密集して咲き乱れているじゃないか〜
すげ−!!

下から写真を撮ろうと待っていたが、
高山植物畑の中にいる夫婦が
なかなか止まって動かないので、
少しイライラ・・・   早く行けぇ−!

高山植物畑を抜けると、その先には雪渓だ。
稜線はもうすぐだぁ〜、って感じだけど、
ここからは傾斜が急になるので、
なかなか足が遅くなってしまう。

雪渓もすぐ近くで眺めると結構でかい。

急坂を登って行くと、とうとう岩苔乗越が近づいてきた。
そして、ついに岩苔乗越に到着〜〜♪

岩苔乗越はもっと上の方のワリモ北分岐までだと
思っていたので、突然目の前に岩苔乗越が
現れた時には、ちょっと嬉しかった〜〜

反対側の景色が少し見えるようになったので、
休憩を兼ねてちょっと撮影。

ここにはあまり長くはおらず、
ワリモ北分岐を目指して登り出す。
坂は急だけど、短い距離なのでわりとすぐに到着。

ここから先はだいぶ傾斜も緩めになるし、
展望もだんだん期待できそうだ〜

今日は快晴だけど、鷲羽岳まで行くのは大変なので、分岐はそのまま通過。
道はゴロゴロした感じだけど、勾配は非常に緩やかになってくる。
しばらく進んでいると、とうとう右手に槍ヶ岳が姿を現す。

快晴の空の下、姿を見せた槍ヶ岳はやっぱり美しいねえ〜〜
特に飛騨側から眺める槍ヶ岳は凛々しくて宜しい!
信州側にも雲がなくて、本当に快晴の素晴らしい天気だ。
写欲が湧くけど、ここから撮るより目の前の一山を登って、水晶小屋付近から撮る方が
より素晴らしい景色であることは明らかなので、撮らずにひたすら斜面を登る。

何度も後ろを振り向くが、やっぱり良いねえ・・・
左側には黒部五郎岳が見え、その向こうには雲海が広がっている。
そのずっと先に見えるのは白山かな・・・?
昨日ガスだった雲ノ平も、今日は奇麗に見えるじゃないか〜

そのうち緑色のロープが見えてきて、もう小屋は目前だ。
傾斜が緩くなってくると、目の前が平坦になり、
その先の降り坂のところに、赤い屋根の水晶小屋がとうとう見えた。
とうとう着いたぞ〜    おそらく、今日一番の撮影スポットではないかな〜
ふと右側にちょっとした丘? らしき所があったので、そこに登って休憩だ。



ここは北側に水晶岳のラインがあるので、
北側の展望は無いが、野口五郎岳辺りから
太郎兵衛平付近までなら見渡せる。

黒部五郎岳や笠ヶ岳付近の雲海、
槍穂高連峰がやはり美しいね〜


しばらく写真を撮った後、少し降りて水晶小屋の方へ行ってみる。
表に回ってみると、屋根には布団がたくさん干してあった。 ( だろうねえ〜 )

丸太の椅子に座って、
ここまで食べなかった朝食を食べることにする。
高天原山荘からもらってきた弁当を開けると、
大きなおにぎりが二つ。
ちゃちな梅干しのおまけも付いていたけど、
このおにぎり、かなりデカい!!


食べるのは良いけど、日陰が無いので暑〜〜い!!
仕方ないので頭からタオルを被って、太陽と反対側を向くと、
おにぎりを食べながらの展望は、北側の立山や後立山連峰だ。
白馬岳は独特の形をしているから、遠くからでもすぐ分かるねえ〜

水晶岳の方を眺めると、
明らかに一昨日よりも青空じゃないかぁ・・・

しかし、もう一度行こうという元気は
無かったので、行かないことにする。

すぐ横の水晶小屋の玄関の所では、大学生と思われる若者の集団が結構いたが、
ど〜も山にはいまいち似つかわしくない雰囲気って感じに思えた。
確かに登山の格好はしているんだけど、どっかなんか違うような気が・・・
奥深い山の中なのに、なぜか新宿渋谷のような雰囲気を感じるんだよねぇ。

10時をまわったので、そろそろ出発の用意をする。
小屋の前では、小屋のスタッフの人たちも表に出て雑談していた。

10:15 頃に水晶小屋を後にし、赤土の急勾配を降って行く。

右手には槍ヶ岳や北鎌尾根、硫黄岳を、
左手には水晶岳から赤牛岳の山並みを
眺めながらアップダウンを繰り返して進む。
風があまり無いから結構暑い。
ザレ場や岩場が多くて、
なかなか楽な歩きではないねぇ、ここも・・・


晴天下の登山は嬉しいけど、稜線上でこうも直射日光が厳しいとちょっと問題だ。
兎に角日陰が無いから、たまに休んでも暑いのだ。
岩稜帯の所で大きな岩があり、そこに珍しく日陰を見つけ、あっさりと休憩。
それに、座れて後ろに寄りかかれるような所じゃないか〜  ( 喜 )

後ろから歩いて来ていたオバちゃんたちは
休むことなく、元気にさっさと進んで行く。

いやぁ〜、元気だねぇ・・・

少し進むと、前方に再び野口五郎岳が見えた。

あまりアップダウンは無さそうだけど、
距離的には結構まだありそうだよ。


東側の常念岳や大天井岳の方も
だいぶ雲が湧き立ってきて、
なんか夕立ちにでもなりそうな感じだ。

野口五郎岳付近は厚い雲がずっと上空に
溜まっていて、天気が怪しい雰囲気を醸し出している。
周囲は青空なので、雨が降るとは思えないけど・・・
まあ涼しくて良いかもしれない。

真砂岳の手前付近まで来ると、
ようやく野口五郎岳が近づいてきた感じがするが、
まだまだ登りは続く。

花崗岩石の砂地の登りではあるが、
傾斜的にはわりと歩き易い斜面をゆっくり登る。
すれ違う人は殆どおらず、上空の厚い雲が
ちょっと寂しい雰囲気を更に助長する。

暗めの雰囲気はいまいちだけど、暑さから解放されたのはとりあえず助かるねえ〜
13時までに山頂に着くかなと思いながら登るが、ちょっとだけオーバーしそうだ。

ようやく山頂だぁ〜と思ったら、 あれ〜 なんかちょっと違うぞ・・・
周囲をよく見たら、いつの間にか山頂を超えて行き過ぎていたのだ。
山頂を巻く巻き道を登って来ていたので、少し戻ってようやく山頂に到着〜〜
それにしても、直接山頂に登る道はどこだったんだろう・・・?

時間が非常に早いので、山頂で長めに
休憩することにして、改めて周囲を見渡すが、
どこもかしこも山並みには雲だらけだ。
上空にはわりと青空もあるが、こりゃ〜曇りだね。

ここまで来ると、高瀬ダムの先の方に下界の
街並みが少し見えるが、向こうは晴れている。

槍ヶ岳は見えているものの、いつガスが
かかるか分からないといった感じだ。

上空の厚いガスは、烏帽子岳から野口五郎岳
付近だけにかかっている雲なので、
そのうち取れるかなと、随分上空を
眺めていたけど、なかなか取れない。

殆ど山頂は一人だったが、たまに人がやって来てもわりとすぐに行ってしまう。
( そりゃそうだろ、この時間から水晶小屋方面に行くなら、ゆっくりしてられないからねぇ )

せめてここの山頂だけでも陽が射せば、
記念写真ぐらい撮れるのにねぇ〜とも思うが、
どうやらここには当分陽は射さない様子なので、
14時頃に小屋へと降りることにする。

この時間はまだ早いので小屋は空いているようだが、
どうやら予定では、今日は混むらしい。
案内されると、3日前に寝た所と同じ場所だ。
しかも既に一枚に二人の割り当てだし・・・
今夜は一人一枚の状態になることはあるのだろうか?
( ちと難しそうかなぁ〜 )

外に出て、しばらくビールとお菓子で休んでいると、
いつの間にか山頂には陽が射している。

もう落ち着きモードなので、
今さら山頂へ戻る気は起らず・・・
まあ夕暮れ時にまた行くか。

今日はやはり人が多いようで、夕食の時間が少し早めの 16:45 に始まるらしい。
そのうち 15時 〜 16時 となるにつれて、やっぱりだんだん人が増えてきた。

食事は一回目だったので、17:15 頃からゆっくり山頂に撮影に行ってみる。

食後なので 15分弱ほど時間をかけて
ゆったりめで登ると、昼の時よりは
上空のガスもだいぶ少なくなっており、
周囲の山並みにもわりと陽が当たっている。

しかし西側の水晶岳や赤牛岳方面は
ずっと稜線上にガスがかかっており、
あまり奇麗じゃないねえ。

東側の表銀座側は多少雲はあるものの、
山並みにずっと陽が当たっていて、
まあまあ夕方って感じの雰囲気だ。


しばらく粘っていたけど、パッとする変化もないので、
一度降りかけたが、陽も射し、槍ヶ岳のガスも
下がったようだったので、もうしばらく粘ることに。
槍ヶ岳に夕日が当たって染まるのを期待していたけど、
結局焼ける前に太陽が西側の稜線上のガスの中に
沈んでしまったので、さすがにもう終了だ。

小屋へと降りていると、途中のガレ場の所で一羽だけ雷鳥がいた。

小屋のすぐ上の稜線付近で、写真を期待していた親子?がいたけど、
もう陽が隠れたので、今日はこれ以上期待できないという話をしながら、小屋に戻る。

19時前の天気予報では、明日も今日と同じように午前中は快晴らしい。
明日の朝は結構期待できそうかなぁ〜〜

布団が一枚に二人とはいえ、思ったよりはマシな状態で休むことができた。
それに夜中に不思議とヒンヤリ感があったのは何故だ???
誰かが窓でも開けていたのか・・・    そうでもないと、あの人の多さで
あんなに夜の室内が涼しくなるわけないしねえ〜   まあ涼しいのは良いことだ。

08月 10日 (金)     快晴

朝まだ暗いうちに外に出てみると、星がたくさん出ており、東の空も少しだけ
オレンジ色の気配が見える。    今日も朝から良い青空になりそうだ〜


布団に戻ってしばらく休んだ後、
再度外に出てみると、
だいぶ明るくなりかけていて
東の方には雲海の雰囲気が見えた。

薄らだけど富士山も見えるねえ〜

食事も早めで 4:45 からだったので、
一回目で食事を済ませて、
荷物を小屋に置いたまま、
カメラと三脚だけ持って、
野口五郎岳の山頂へ行ってみる。

朝から快晴で、槍穂高連峰も雲が無く、
奇麗に見えるじゃないか〜



時折り、水晶方面へ向かう人たちが
チラホラと山頂を通過して行くが、
思ったより随分と人が少ない。

この快晴、二日目に比べれば雲泥の差だ。
今日から入山する人たちは恵まれているねえ〜


1 時間近く山頂で、素晴らしい景色を満喫した後、小屋へ戻って出発の支度をする。

小屋を出る頃は 6:30 頃だったが、
ちょうど小屋の人たちは朝食中だ。

表から挨拶だけして、小屋を後にする。
いよいよ下山に向かって稜線を北上だ。
とうとう最終日だねぇ・・・・・

稜線からは北側の後立山連峰も良く見える。
快晴で直射日光が当たるとはいえ、この時間帯ならまだ長袖のフリースでも OKだ。
ゴツゴツの岩場のアップダウンが連続するので、あまり歩き易い道ではない。
初日はこんな所を、炎天下の中でよく歩いたもんだと思う。

南側を振り返ると、槍穂高連峰が奇麗だ。

今朝、槍ヶ岳の穂先に登った人は
眺めが凄いだろうねえ〜〜
良いなぁ。

富士山や南アルプスも、朝方はよく見えていたが、だんだん霞み始めてきた。
この付近から眺めると、白馬や鹿島槍などより手前の、
不動岳や船窪岳辺りの山々が随分、込み入っているように見える。

そのうち正面に三ツ岳の分岐が見えてきた。
来る時は巻き道を通ってきたので、
今日は快晴だし当然山頂経由の展望コースだ。

こちらはそうたいした登りではないので、
比較的楽に山頂付近に到着。
特に山頂としての標識は無いようなので、
岩の上で記念撮影をしてみる。



山頂から降って、巻き道との合流地点を過ぎると、そろそろ撮影ポイントか・・・
雑誌に載っていた三ツ岳付近から見た野口五郎岳の絵を撮ろうと思っていて、
おそらくこの付近だろうと思われるので、この辺でしばらくウロウロしながら
同じ構図を探してみるが、全く同じような絵は見当たらない。
しかし登山道の感じや山を眺める構図からして、
この辺しかないと思われるので、とりあえず適当に撮ってみる。

巻き道を更に進むと、駒草の群落エリアへの
右折点が見えてきて、高瀬ダムも見えた。

前方の写真を撮ろうとカメラを構えていると、
後ろから登山者の足音が聞こえてきた。
撮影をしているから、後ろで止まるのかなと思ったら、
声もかけずにそいつは私を追い越して前方の
道を進んで行く。   当然写真の構図の中だ。

後ろから来た足音を聞いた時、止まる気配が無さそうだったので、
そいつが追い越して構図の中に入る前にシャッターを切ったけど、
普通は声もかけずに無断で構えているレンズの前にズケズケと入るだろうか?
普通はちょっと止まるなり声をかけるなりするのではないかと思うけど、どうだろう?

ちょっと気分を害してしまったけど、
気を取り直して先に進む。
右手の急勾配を降ると、烏帽子小屋へと続く
駒草の群落の穏やかな斜面だ。
昔来た時はガスで殆ど見えなかったが、
今日は本当によく見えるねぇ・・・


更に斜面を降って行くと、正面に烏帽子小屋のテント場が見えてくる。
テント場まで来て改めて思うけど、ここのテント場は随分フラットで奇麗な路面だね〜


でもこの時間でここにテントを
張っている人は縦走じゃないのかな?

この近所のピークを往復するだけで
ブナ立て尾根を登って来るのは、
ちょっと大変だろうにねぇ・・・

いや〜、それにしても暑い。     長袖のフリースはそろそろ限界って感じ・・・
最後の斜面を登り切ると、すぐ先にはようやく烏帽子小屋の姿が見えた。

烏帽子小屋の前へ来ると、殆ど人の姿は見られない。
時計を見ると、まだ 9時少し前だ。
確かにこの時間帯は、
山小屋にとって一番客がいない時間帯だね〜
宿泊客が出発するには遅過ぎるし、
宿泊客の到着には早過ぎるし。

通過する客はいる可能性があるけど、ブナ立て尾根を登って来て野口五郎岳へ
向かう客も、さすがにこの時間に烏帽子小屋に到着する人はあまりいないだろう。

休憩していたら、ブナ立て尾根を登って来た人がチラホラとやって来た。
ゲートの開く時間が早くなったから、5時過ぎにタクシーでゲートを
通過していれば、早い人なら 9時半前でも到着する可能性はある。

当初はニセ烏帽子岳まで行くつもりはなかったけど、さすがにこれだけ早い時間に
ここにいると、降りるのも早いし、前回いまいちの景色だったこともあるので
ニセ烏帽子岳までは行ってみることにする。
烏帽子岳は面倒だし、たいして面白味もないので行かない。

フリースを脱いでザックを置き、
カメラと三脚だけ持ってさっさと出発。

花崗岩の白い砂地を登っていると、
燕岳を思い出すねえ〜
周辺の大きな岩もそっくりだ。

地図では片道 30分となっているけど、殆ど空身状態なので半分の 15分程で到着。


相変わらずここにも誰もいなくて独占状態だ。

山頂と岩場の所から北側を眺めると、
烏帽子岳や不動岳、針ノ木岳などが良く見える。
( 上の画像 )

南側を振り返っても、
表銀座や三ツ岳、水晶岳などが見える。
( 左上及び左の画像 )

8年前の時はガスが多くて、
殆ど山並みが見えなかったけど、
こんなに素晴らしい景色だったんだねぇ・・・

記念写真を撮り、
しばらく休んでこの景色を満喫して、
そろそろ小屋へ戻ることにする。

烏帽子小屋に戻って休んでいると、
チラホラと下から登って来る人が現れ始める。

まだ 10時前だから、
殆どの人たちは野口五郎岳まで行くんだろう。

荷物をまとめて、10時ちょうどに下山開始。

いよいよブナ立て尾根の降り、5日間の最後の行程だ。
ちょっと長めだけど、ここを降りれば温泉だあ〜〜
早く風呂入りたい!!

ブナ立て尾根に入っても、しばらくは樹林帯が無く直射日光を受けて暑い。
樹林帯に入って木陰歩きになってくると、ようやく暑さからも少し解放だ。

急勾配の斜面をどんどん降っていると、すれ違う人の数も増えてくる。
20人ぐらいの団体通過の為に待たされたりして、オイオイとも思ったが、
全体的には登って来る人の数は少なめのような感じだ。
金曜だしお盆前だから、もう少したくさんすれ違うかなと思ったけど・・・

左手の崩壊地を見ながら、更にどんどん降る。
急勾配の為、烏帽子岳や不動岳の稜線がどんどん上になっていく。
降りは息が切れないので、あまり休まずに降っていたら、
いつの間にか1時間近くも降っている。
途中、登りの時に休んだ覚えのある場所がいくつか確認できた。

ブナ立て尾根は適当な間隔ごとに番号が振ってあり、
休憩し易いとなっているけど、実際はそんなに休憩に適する
場所がたくさんあるわけではないので、ついつい通過しがちだ。
とはいっても、行程も長く脚も疲れているから、そろそろ休憩。

本当はブナ立て尾根の降りでお腹が空くだろうと思って、烏帽子小屋を出る時に
御飯に水を入れてきたのだ。    お湯だと 15 〜 20 分ぐらいで出来上がるけど、
水の場合は 60 〜 70 分なので、ちょうど良いだろうと思ったからねぇ。
しかし実際はあまり食欲も湧かないし、食べるのも面倒だしで、せいぜい水を飲んで終わり。
折角、梅ワカメ御飯を作っているのに、いったいこれはいつ食べるのか・・・?

中腹ぐらいまで降りて来ると、周囲の緑も
背の高い樹林となり、殆ど陽も当たらずに済む。

陽射しの暑さは無くなるが、
標高が低くなってくるので気温が上がり、
あまり変わらないか・・・

見覚えのある狭い休憩ポイントでは、人数多めの学生らしき集団が休んでいた。
すぐ上の所に木陰でフラットな上、もっと広い場所があったので、
すぐ上にもっと良い所があることを教えてあげる。
お礼を言われて皆移動していたようだったけど、どうだったかな?

正面には濁沢の滝が見えてはいるけど、どの辺かなと思い、たまには地図を眺める。
高度計を見てもまだ 1900m前後なので、高気圧状態にあることを加味しても
まだ標高は 1800m前後ってところだろうか・・・

ひたすら番号を確認しながら、どんどん降る。
時折り、右前方にチラチラと高瀬ダムのエメラルドグリーンの水が見えるけど、
まだまだだねぇ・・・     う〜ん、やっぱり長いよ。


途中、何度か休んでいる人やゆっくりペースの人を追い越していく。
番号も 8番を過ぎ、沢の音が大きく聞こえてくるようになると、やっぱり気も焦ってくる。
足も痛くなってきた感じもあるし、9番ぐらいで休んで御飯食べようかな〜なんて思っていたら、
9番はロープが張ってあり、休憩できない状態じゃないか。
仕方ないのでこのまま通過するが、10番まで来ちゃったらもう降りたいしねぇ・・・

10番を過ぎたので、もう近いかなと思っているのに、
なかなかステンレス梯子が見えてこない。
それがあると下山口はすぐんだけど、
なんで見えないんだぁ〜  ( あ−もう疲れたよ! )
なのに何故か 11番って−のがあるし、なんで・・・?
11番なんてあったっけかなぁ〜?

Goal が近いのに、なかなかステンレス梯子が見えず、
悶々としながら降りていると、
ようやくステンレス梯子が見えてきた。
いよいよ Goal は目前だぁ〜♪

最後で転ばないように気を付けて歩く。

最後の梯子を過ぎると、樹林帯の出口が見え、
ついに下山口に到着だ〜〜〜!!
いやぁ−、やっと終わった終わった〜〜♪

時間は 12:30 頃で、申し分ない時間だねえ〜

登山口の前では休んで日焼けしている人や、水場で休憩中の人がいる。
日焼けしている人に挨拶した時に、ザックの銀シートが落ち、教えてもらった。
登山中だったら、たぶん気付かなかっただろうねえ。

吊り橋を渡り、仮設登山道を通って最後の仮設階段を降りるが、えらく長く感じる。
きっとかなり疲れているんだろうねぇ。

人のいないキャンプ場の中を抜けて大きな吊り橋を再び渡り、トンネルを抜けると、
本当に歩き終わる終点の高瀬ダムの堰堤に着いた。
ちょっと向こうの方にはタクシーが待っているじゃないか〜〜

タクシーは2台いて、1台は吊り橋に
遊びに来ていた観光客用だったので、
もう1台に乗って七倉の駐車場まで戻る。

いや〜、車って楽で良いねぇ・・・  本当に。

七倉に着くと、車に荷物を運んで
洗顔した後、梅ワカメ御飯を食べることに。

登山用のアルファ米は、
お湯と水、どちらでもできるけど、
やっぱりお湯の方が良さそうだ。

さあっ〜てこれから念願の温泉だあ〜、ってことで、
車をひたすら大町温泉郷へと走らせるが、途中で道がよく分からなくなり、
しばらくグルグルまわるうちに、ようやく薬師の湯に到着した。
平日だから空いているかなと思ったけど、夏休みのせいかやっぱりそこそこ多そうだ。

温泉施設は結構大きいようで、
旧館と新館があったので、新館に行ってみる。

施設は奇麗で、内風呂と露天風呂があり、
そんなに混んでるというほどではなかった。
やはり山から降りて来た後の温泉は、極楽だねぇ・・・
この爽快感は素晴らしい。

大町からはメインの 147 号線ではなく山側の道路を走り、穂高温泉郷の近くの
蕎麦屋へ行ってみる。   本当はそうめんが食べたいが、あまり無さそうなので蕎麦だ。
以前、山の帰りに寄ったことのある、天満沢に行ってみると、ガラ空き・・・
そりゃそうだろ、平日で 15時頃だしねえ。

蕎麦屋を出ると、豊科 IC から長野自動車道に入り、そのまま中央道を走る。
高速道路が空いていてガンガン走れるのは良いことだ。

八ヶ岳や南アルプスの山並みには、モクモクと積乱雲らしき雲が湧いており、
下界は晴れているけど、山の上はどんな天気か分からんって感じだ。

談合坂付近は雨でも降るのかなと思っていたけど、天気は問題なさそう。
しかし渋滞が 13kmほどになっていて、ちょっとガッカリ・・・

渋滞を抜けて、再び高速走行で八王子を過ぎる。
首都高速の方はまた渋滞しているらしいけど、もう首都高速は走らずに済む。
調布 IC で降りて、帰宅したのは 19時半前だった。

4泊5日の歩きをやったのは7年振りだったけど、裏銀座の往復はちょっと疲れたね〜
夏に9連休なんて長く休むのは珍しいけど、今回はあまり休んだ気がしなかったし、
不思議と月曜日が来るのが、あまり嫌でもなかった。

雲ノ平がガスで今一つだったのは残念だったけど、全般的には雨にも当たらず
一度もレインスーツを着ることがなかったので、それはとても良かった。

後で気付いたけど、北アルプスの稜線上に登ったのは、なんと 2003年以来4年振り。
こんなに長い間、来てなかったんだねえ・・・
でもやっぱり北アルプスは良いねえ〜      次はいつ来るかな?

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